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【プロ野球】「勝負にいくのが怖くて...」 ヤクルト・奥川恭伸が吐露した苦悩と再生の2025年シーズン

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya

奥川恭伸が語る2025年シーズン(後編)

前編:ヤクルト・ケガなき1年を過ごした奥川恭伸に訪れた次なる試練はこちら>>

 6月に入ると、奥川恭伸の表情に徐々にではあるが、明るさが戻ってきた。

「この頃、取り組んでいたのは体の開きを抑えることでした。キャッチボールでも踏み出した足が一足分くらい外にいっていたので、それを内側に入れたいなと。それが少しずつできるようになり、試合でもバッターの反応が変わってきました。気持ちがちょっと前向きになった時期でした」

7月19日の広島戦で今季初勝利を挙げた奥川恭伸 photo by Sankei Visual7月19日の広島戦で今季初勝利を挙げた奥川恭伸 photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る

【先入観が邪魔をしてしまう】

 今シーズンの初勝利は、7月19日の神宮での広島戦だった。7回3安打無失点と圧巻のピッチングだった。同27日の中日(神宮)でも7回2失点の好投で2連勝。8月3日の阪神戦(神宮)も7回を投げきって3連勝。初回から3回まで、初球はすべてストライクという奥川らしいピッチングだった。

 通算成績を3勝4敗まで戻したが、その後は思うようなピッチングができない試合が続いた。

「難しかったですね。技術的にもうまくいってなかったのですが、先入観がすごく邪魔をしているなと。細かいことですが、配球していくなかでバッターの得意な球種も投げないといけないし、コースにもきっちり投げないといけない。その時に『危ない』という先入観が働いて、それでストライクゾーンに投げきれず、カウントを悪くする流れになってしまった。2021年はそういうことを考えずにできていたんですが、今はいらない情報を入れすぎてしまったのかなと」

 四死球は投球回100イニングで37個を数えた。押し出し四球や危険球退場など、奥川らしくない結果も多かった。

「コントロールがいいというイメージはやめてほしいと思いつつも、自分でもやっぱりちょっと多いよなって(苦笑)。アウトコースで簡単にストライクが取れず、変化球でもカウントも取れないといった部分もありますけど、先ほども言いましたがゾーンで勝負できなかったですね。四球の大半は、勝負にいくのが怖くて......という感じでした」

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著者プロフィール

  • 島村誠也

    島村誠也 (しまむら・せいや)

    1967年生まれ。21歳の時に『週刊プレイボーイ』編集部のフリーライター見習いに。1991年に映画『フィールド・オブ・ドリームス』の舞台となった野球場を取材。原作者W・P・キンセラ氏(故人)の言葉「野球場のホームプレートに立ってファウルラインを永遠に延長していくと、世界のほとんどが入ってしまう。そんな神話的レベルの虚構の世界を見せてくれるのが野球なんだ」は宝物となった。以降、2000年代前半まで、メジャーのスプリングトレーニング、公式戦、オールスター、ワールドシリーズを現地取材。現在は『web Sportiva』でヤクルトを中心に取材を続けている。

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