【箱根駅伝 2026】渡辺康幸が分析する上位校候補 青山学院大学がやっぱり強い?「中央大学は特に......」
過去2回連続で箱根駅伝2区を務めている青学大・黒田朝日 photo by AFLO
後編:渡辺康幸の三大駅伝展望
大学駅伝の解説者としてもおなじみの渡辺康幸氏(現・住友電工監督)。前編では全体の勢力図を見ながら出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝は「3つとも違う大学が勝つ気がする」としたうえで、上位候補として早稲田大学、中央大学、創価大学について触れた。後編では、箱根駅伝を想定しながら、青山学院大と駒澤大、初の総合優勝を狙う國學院大の状況を交えて占っていただいた。
【距離が延びて強さを発揮するのは――】
――青学大はどうでしょうか。
「いつもどおり、最後の箱根に合わせているでしょう。出雲と全日本は走り込んでいる最中なので、なかなか調子は上がってこないと思います。それでも、ミスがなければ、上位に食い込んでくると思いますが」
――箱根に関していえば、青学大は上りも下りも山を担ってきた選手が卒業しました。そのあたりがどう出るか。
「でも、前回の優勝タイムは10時間41分台ですよ。2位に3分近い差がありましたから。山の2区間で前回より多少タイムがかかっても、十分に戦えます。タイムが10時間45分ぐらいにとどまったら、優勝争いがもっと面白くなると思います」
――駒澤も箱根駅伝では優勝争いに絡んでくるという見立てです。
「結局、駒澤は佐藤圭汰選手(4年)次第ですね。たぶん全日本からは戦線に戻ってくると思うので、全日本でも、区間記録を持つ2区や3区あたりに佐藤選手を起用できたら、優勝争いに加わると思いますよ。そのうえで、箱根では青学のライバルに駒澤がなるんじゃないですかね」
――國學院大は、平林清澄選手(現・ロジスティード)や山本歩夢選手(現・旭化成)は卒業しましたが、好選手がそろっています。
「昨シーズンほどマークされていないので、個人的には、意外に今シーズンこそ来るような気がしています。4年生に青木瑠郁選手、上原琉翔選手、3年生にも辻原輝選手や野中恒亨選手といった強力なランナーがいる。2年生も、飯國新太選手らが力をつけてきました。1年生の髙石樹選手も調子がいいと聞きます。
絶対的なエースはいなくても、10000m28分半を切っている選手は多いですし、しぶとく走ると思いますよ」
――お話を聞いていると、名前が挙がった大学はどこも強そうですね。混戦が繰り広げられそうです。
「だから、読めないんです。中大はどっちに転ぶのかが、特に読めないですね。最初(前編)に『3つとも違う大学が勝つ』と言いましたが、仮に中大が出雲を獲ったら、その勢いに乗って、三冠を達成する可能性もあるんじゃないかという気もします。前回の箱根では5区の途中まで先頭を走っていますし、そのメンバーが8人残っていますから。極端に言えば、三大駅伝は本来の力を発揮できないまま終わることもあれば、圧倒的な強さが発揮されて三冠を達成することもある、というシナリオが両方描ける印象も受けます。蓋を開けて見るまで本当にわからないです」
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著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。

