【箱根駅伝 2026】渡辺康幸が分析する上位校候補 青山学院大学がやっぱり強い?「中央大学は特に......」 (2ページ目)
【6校に次ぐ注目チームは?】
――ここまで挙がった6校のほかに、注目しているチームや選手はいますか。
「帝京大ですね。帝京がいいんですよ。この前(9月28日)のThe Road of WASEDAでもロード5kmで何人も13分台で走っていました。粒揃いですよ。
例年のように練習量はやってきているんですけど、最近の結果を見ていると、距離を踏むだけじゃなくてスピードも入れるという方向に、少しだけ舵を切ったように思います。チーム構成としては國學院に近い。國學院のほうが少しだけレベルは上だと思いますが。
ここまでで7校挙げましたが、どこも強いですね」
――この7校が順当なら、箱根駅伝のシード権は残り3枚しかありません。シード権争いも熾烈ですね。
「予選会の結果はもちろんやってみないとわかりませんが、予選組のなかでは大東文化大学が面白そうですね。留学生がなかなか駅伝にハマらないことが多いですが、日本人も粒揃いで、先に挙げた7校に次ぐ力があると思います」
――東洋大は20年連続でシード権を獲得していますが、今年は全日本大学駅伝選考会で8位に終わり、18年連続の本大会出場を逃しています。
「酒井(俊幸)監督は、2回は失敗しないと思います。名監督ですよ。1回ぐらいの失敗は誰にでもあります。大八木さん(弘明、駒大総監督)でさえ、シード権を落としたことがあるんですから。東洋は松井海斗(2年)や緒方澪那斗(4年)といった強い選手が何人もいますし、普通に考えて、箱根でシード落ちするチームではないと思います。
城西大もシード権圏内でしょうね。ヴィクター・キムタイ選手と斎藤将也選手(ともに4年)という、2区と5区を走った選手がいるのは大きいです。
シード校では東京国際大がシード権を守れるかどうか。2区の区間記録をもつリチャード・エティーリ選手(3年)という大エースはいますが、日本人がもう一段レベルを上げてこないと、なかなか厳しいように思います」
――先ほど大東大の名前が挙がりましたが、上位校が盤石なだけに、予選会から勝ち上がってシード権を獲得するのはなかなか難しそうです。もっとも、その予選会もボーダーライン付近は毎年混戦です。
「大東や順天堂大は、当たり前に通過すると思いますけどね。予選会を通りそうなところを上から予想していくと、前回、予選敗退したチームでは、明治大と東海大が今、いいんですよね。それと、前田和摩選手(3年)がいる東京農業大も入ってきそう。この3校が入ってきたら、3校が弾き出される。10年連続出場中の法政大もうかうかしていられないですし、山梨学院大や神奈川大もきちんと走れなかったら落選する可能性もあります。
去年は、明治も東海も東農大も落ちましたけど、5番から10番前後のチームは、どこも紙一重だと思います。
予選会だけでなく、本大会も、ボタンをひとつ掛け違えただけで、優勝候補だろうと7位とか10位になる可能性もあるし、下手をすればシード権を逃すこともありえます。
直近の記録会等のレースの結果をもとに、皆さんも予想を立てると思いますが、それだけで測ることはできません。結局、最後の調整で結果は変わってきますから。それだけ、上位予想に名前を挙げた大学はどこも力がありますよ」
⚫︎Profile
渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)/1973年6月8日生まれ、千葉県出身。市立船橋高-早稲田大-エスビー食品。大学時代は箱根駅伝をはじめ学生三大駅伝、トラックのトップレベルのランナーとして活躍。大学4年時の1995年イェーテボリ世界選手権1万m出場、実業団1年目の96年にはアトランタ五輪10000m代表に選ばれた。現役引退後、2004年に早大駅伝監督に就任すると、2010年度には史上3校目となる大学駅伝三冠を達成。15年4月からは住友電工陸上競技部監督を務める。学生駅伝のテレビ解説、箱根駅伝の中継車解説では、幅広い人脈を生かした情報力、わかりやすく的確な表現力に定評がある。
著者プロフィール
和田悟志 (わだ・さとし)
1980年生まれ、福島県出身。大学在学中から箱根駅伝のテレビ中継に選手情報というポジションで携わる。その後、出版社勤務を経てフリーランスに。陸上競技やDoスポーツとしてのランニングを中心に取材・執筆をしている。
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