冬季五輪二度出場&連覇を狙う小林陵侑がパリ五輪4位の中野慎詞に助言 普段どおりの自分を出す秘けつを伝授 (3ページ目)
――中野選手はパリオリンピックが初出場でした。ケイリンの決勝ではあとわずかのところで落車して、メダル獲得はなりませんでした。
中野 ちょっとスケベ心がでたんですよ(笑)。それがよくなかったかなと思います。決勝の前に「(6選手で走るので)3人に勝てばメダルを獲れるな」と思ってスタートしたんですよね。本当に最終コーナーで獲れそうな位置に来たんですよ。「あっメダルだ」と思った瞬間にマレーシアの選手と接触して、そのまま転んじゃって。転んだ瞬間は自分でも何が起きているかわからなくて、気づいたら天井を見ている状態でした。最終コーナーを3位で通過した中野(白)。しかしこの直後落車に見まわれた photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る――小林選手は2022年、二度目のオリンピック出場で、ノーマルヒル金メダル、ラージヒル銀メダルという結果を残しました。二度目のオリンピックでさらに飛躍するために、中野選手になにかアドバイスがあれば教えてください。
小林 何も言えることはないです(笑)。メンタルも考え方もすばらしいから、そのまま進んでくれそうな気がします。僕は最初のオリンピックが終わった次の年(2018-19シーズン)にワールドカップ個人総合1位になって、そこから3位、4位を経て、2021-22シーズンでまた個人総合1位だったんです。そんななかでオリンピックを迎えましたから、結構プレッシャーもありました。もうのりさん(葛西紀明選手)たちもいなかったので、僕がスキージャンプ界の筆頭的な存在になっていて、緊張もしました。でも(金メダルは)たまたまですね。一発の舞台って何があるかわからないですから。
中野 ありがとうございます。僕は決勝とか、ここぞという時に狙いすぎて、一瞬躊躇(ちゅうちょ)してしまう傾向があるんです。スキージャンプも一発の世界ですけど、そこでどう最高のパフォーマンスを出せるのか、そこを教えてほしいです。どんなメンタルでそこに立ち向かっていっているのかを。
小林 僕の場合、誰よりも練習しているとか、誰よりもうまく飛べるとか、勝負強さがあるとか、そういう自信を持つようにしています。そうすれば、普段どおりの自分でいけるし、パフォーマンスも出せると思います。僕は感情や状態を言語化するのが不得意なんですが、中野選手は言語化もすごくできますし、考え方もしっかりしていますから、きっとできると思います。すでに誰よりも練習をしていると思いますから。
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