【プロ野球】阪神はなぜ強くなったか? 元スカウトが証言「金本知憲監督になって明らかにドラフトが変わった」
元スカウト・熊野輝光インタビュー(後編)
ドラフト会議のたびに賛否を呼んだ指名の裏には、チームを本気で変えようとする現場の「執念」があった。近本光司、大山悠輔、佐藤輝明......。その名が読み上げられる瞬間、スカウトたちは何を思っていたのか。元阪神のスカウトとしてドラフトの現場に立ち続けた熊野輝光氏がタイガースの転換期を語る。
2016年のドラフトで阪神から3位指名された才木浩人(右)と熊野輝光氏 photo by Sankei Visuakこの記事に関連する写真を見る
【独立リーグから指名が増える理由】
── 2025年ドラフト会議(10月23日)が近づいてきました。今年の注目選手はいかがですか。
熊野 今年から香川オリーブガイナーズの監督を務めており、こちらで忙しくて......。ただ、噂では絶対的な上位候補は例年に比べると、それほど多くないと聞きました。
── 何か理由はあるのですか。
熊野 昨今、社会問題になっている少子化により、ドラフトにかかるような選手の絶対数が減っています。またプロスポーツも野球だけではなくなり、サッカーやバスケットボールなど、子どもたちにさまざまな選択肢が出てきたことも要因です。かつてのように、身体能力の高い子が野球をやるという時代ではなくなりました。
── そのなかで、最近は独立リーグからドラフト指名される選手が増えています。
熊野 そうですね。阪神では2023年に椎葉剛がドラフト2位、昨年はドラフト4位、5位、さらに育成ドラフトでも4人全員が独立リーグ出身の選手でした。四国アイランドリーグplusからは、昨年だけで育成を含めて8人が指名されています。150キロを投げる投手も珍しくなくなってきており、全体のレベルが確実に上がっています。
── 一時期、独立リーグは「夢(プロ)をあきらめる場所」「現役に踏ん切りをつける場所」とも言われていました。
熊野 現実として、資金面の問題はあります。NPBのように契約金や支度金のようなものはありません。それに報酬はシーズン中の半年間なので、アルバイトや親の援助もプラスして、住居費、食費、光熱費を負担しなければなりません。ハングリー精神が必要ですね。
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