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【プロ野球】阪神はなぜ強くなったか? 元スカウトが証言「金本知憲監督になって明らかにドラフトが変わった」 (3ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

── 振り返ると、2016年のドラフトで大山悠輔選手が1位指名された時には、会場にいたファンから悲鳴にも似た声が上がりました。

熊野 金本監督が決めました。金本監督は「阪神に合っている選手」を指名するという考え方です。大山もよく期待に応えて頑張ってくれています。

── かつては、阪神の指名選手は1位から6位まで、スポーツ紙にバッチリ当てられることがありました。関係者から情報が漏れていたのでしょうか。

熊野 それはわかりませんが、獲得順位が事前にわかってしまうと、ドラフト戦略に大きな影響を及ぼしてしまいます。以前は「1位は誰、2位は誰......」というように、6位までの指名選手をあらかじめ決めていました。しかしその後は方針を変え、候補選手をグループ分けして幅を持たせたうえで、ドラフト当日の午前中に球団幹部による会議で最終決定する形をとっています。こうした運用によって、近年は情報漏れのないドラフトを実現できるようになりました。

── 2020年のドラフトは、1位・佐藤輝明選手、2位・伊藤将司選手、5位・村上頌樹選手、6位・中野拓夢選手、8位・石井大智選手と、まさに「神ドラフト」となりました。

熊野 2023年、そして今年の優勝の大きな力となってくれました。それ以前、金本監督時代にヘッドコーチになり、のちに監督になる矢野燿大さんが坂本誠志郎(2015年ドラフト2位)や村上を強く推しました。このあたりは、捕手目線でさすがだなと思いました。

── 思えば、1999年、2000年のドラフト、もう四半世紀も前のことになりますが、当時の野村克也監督が「もう少しいい選手を獲ってくれないものか。編成と育成は球団の両輪や」とボヤいていたのを思い出します。

熊野 そうでしょうね(苦笑)。ドラフトは運もあります。2022年のドラフトでは、浅野翔吾(高松商→巨人)を外して指名した森下翔太が即戦力として活躍し、今やチームにとって欠かせない存在です。

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