【プロ野球】阪神はなぜ強くなったか? 元スカウトが証言「金本知憲監督になって明らかにドラフトが変わった」 (2ページ目)
── 独立リーグのメリットがあるとすれば、どのあたりになりますか。
熊野 前期・後期合わせて68試合のリーグ戦があり、豊富な実戦経験を積むことができます。さらにプロ3軍との対戦もあるので、実戦的で確実に力がつきます。プロ志望でドラフトに漏れた選手も、社会人野球に進むと高卒なら3年間、大卒なら2年間はドラフト対象外になりますが、独立リーグなら1年で再び挑戦できます。NPBのドラフト候補が少ないといわれる年ほど、独立リーグの選手にもチャンスが広がると考えています。わが香川オリーブガイナーズも、「本気でプロを目指せる場所」です。
── 2027年からセ・リーグでもDH制が採用されますね。
熊野 これまでは、打撃力はあっても守備力や走力が劣るタイプの選手は、どちらかといえばパ・リーグ向きとされてきました。ですが、これからはセ・リーグでも十分に活躍できるようになります。つまり、これまでプロ入りできなかった選手にもチャンスが広がるということです。だからこそ、2026年はスカウト活動の見直し期間と位置づけられ、正式導入が2027年になったのだと思います。
【執念を感じた2018年ドラフト「センター・1番」】
── 阪神のスカウトになられてからの話をお聞きしたいのですが、現在リードオフマンとしてチームを牽引されている近本光司選手は、外れ外れ1位入団でした。
熊野 2018年のドラフトでは、阪神はまず1位で大阪桐蔭の藤原恭大(現・ロッテ)を入札しましたが、抽選で外しました。次に立命館大の辰己涼介(現・楽天)を指名しましたが、これも外れ。そこで最終的に、大阪ガスの近本を指名することになりました。
── 1位指名を外した場合、別ポジションを含めて残っている実力のある選手を指名するか、2位で予定していた選手を繰り上げて指名するか、将来性を重視して高校生を指名するか。大別して、この3パターンだと思います。
熊野 だから、センターの選手を3人続けて指名した執念には、スカウトの私も驚きました。それ以前に、阪神は金本知憲監督の時から、明らかにドラフトが変わりました。
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