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【男子バレー】西田有志「24時間じゃ足りないくらい」 バレー「探求」の旅は今年も続く

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 2025年12月27日、大阪。大同生命SVリーグ首位攻防戦、昨季レギュラーシーズン1位だった大阪ブルテオンは、王者サントリーサンバーズ大阪の本拠地に乗り込んだが、セットカウント3-1で敗れている。

 ブルテオンは、地球の裏側のブラジルで世界クラブ選手権を戦い、準優勝した直後だった。予選ラウンドから前回大会王者サダ・クルゼイロを下し、イタリア・世界最高峰セリエA王者のペルージャとフルセットで渡り合っている。決勝では再びペルージャと激闘を演じた。連戦の疲労だけではない。45時間の長旅と強烈な時差が襲う。

 帰国後のサントリー戦はぶっつけ本番だった。

「ケガをしないのが第一でした」

 ブルテオンの西田有志(25歳)は試合後に淡々と語っている。世界クラブ選手権では主将としてチームを日本史上最高位に押し上げたが、この日の一戦は冷静に捉えていた。いたずらに勝つことに焦っても、代償が大きい。戦略的判断だった。

「今日(サントリー戦)は勝つことがメインでしたけど、マストではなかったと思っています。帰ってきて二日で、練習もできていない。全員が時差ぼけで、アップしても眠気が抜けないほど。それでも、(主力を休ませながら、第3セット以降は西田もベンチに下がった)これだけできたのはプラスでしかない」

昨年の世界クラブ選手権ではチームを準優勝に導いた西田有志(大阪ブルテオン)photo by SV.LEAGUE昨年の世界クラブ選手権ではチームを準優勝に導いた西田有志(大阪ブルテオン)photo by SV.LEAGUE コート上の西田は熱意や活気に満ち、ゴリラのドラミングのようなパフォーマンスもあって、本能型にも見えるかもしれない。ただ、実際の彼は哲学的思考を好み、求道的なところが多分にある。論理的アプローチで、正解を導き出す。

――コートでは豊かな感情がエネルギーになって、西田選手を突き動かしているように見えますが......。

 インタビューでそう話を振ったことがあった。左利きオポジットとして、豪快なスパイクは野性的で、問答無用に人の心を動かす。今シーズンも、得点数は日本人では宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)と1、2を争っている。

「そこは僕のプレースタイルと大きく関係していると思いますね。プレーヤーとして感情を出すのは大切ですし、とくに意識しているわけじゃないですけど、自分のなかで大事にしているのは間違いありません。バレーが生き生きとする流れって、そういう選手が生み出すものでもあるし、点数をとって生み出せるものでもあって。逆に感情のコントロールのところで、フラストレーションが溜まってしまうこともあるかもしれません」

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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