葛西紀明が『なんだこれ? 難しいな』とテニスにハマる理由 51歳で現役続行について「キングカズさんが道を作ってくれている」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

 まずはジャンプ台がなくてはダメですし、加えてジャンプって、1日に10本から20本ぐらいしか練習できないんです。特に僕が子どもの頃はリフトもなかったので、飛んだら自分で登っていくので限界がありました。

 やっぱり練習量という部分に関しては、ジャンプは相当にハードルが高いし、うまくなるのに何年もかかる。すごく特殊な競技だなと思うし、僕が今までいろいろやってきたスポーツのなかでも、ジャンプが一番難しいです」

── 葛西選手ご自身は、何歳頃からジャンプの練習をはじめ、どのように上達していったのでしょう?

「もちろん最初は、大きなジャンプ台からは飛べないですよね。もう絶対にケガしますので。ですから小さい頃は、5メートルくらいの高さのジャンプ台から始めるんです。

 僕が最初に飛んだのは、小学3年生の時。5メートルとはいえ、やっぱり怖いんですよ。それこそ何百本も飛んでいるうちに、だんだん恐怖心もなくなってきて、ようやく思いっきり飛べるようになる。

 すると今度は、20メートル級の台に移行します。段階が、それしかないんですよ。5、20、30、50メートルと、台が大きくなるたびに怖いし、その恐怖心を取り除くために、また何百本も飛ぶしかない。でも、飛ぶと体も頭も疲れるので、やはり1日20本くらいが限界ですね」

── 雪のない期間は、普通の山でジャンプの練習をするのですか? あるいは、ほかのスポーツをトレーニングとして取り入れるのでしょうか?

「若い頃の僕は、冬場以外は試合でしか飛ぶことはなかったです。ふだんは陸上部でマラソンをやっていました。ですから、ずっと走っていましたね。『クロストレーニング』という概念にはまだ及んでいなかったと思いますが、ジャンプ選手はみんな球技などもやっていました。

 それをやることによって、いろんな反応や判断力などが身につくんじゃないかなと思っています。僕は今、土屋ホームの監督もやっているので、チーム内ではいろんな競技をやりますし、ほかのチームもバレーボールとバドミントンくらいはやっていると思います」

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