葛西紀明が『なんだこれ? 難しいな』とテニスにハマる理由 51歳で現役続行について「キングカズさんが道を作ってくれている」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

 ただ、日本に帰ってくると......それこそ空港や駅など、どこに行っても『レジェンド、レジェンド』って声をかけてもらえるようになったんです。この歳で頑張っているというのが、刺激になると。一般の方からも『仕事が頑張れます』という言葉をかけてもらえることが、めちゃくちゃ多いんですよ。

 それがなんか、すごくうれしくて。金メダルも取りたいけれど、今は多くの方に応援してもらえることのほうが、なんか、やり甲斐がある気がしてきて。僕がこの歳で頑張ることで、多くの人が元気になるんだなって。みんな元気になって、そう言われることで僕もまた頑張れるという、相乗効果がすごくあるんです。

 だから、まだ辞めたくないな、やめる必要ないなって思っています。別に痛いところがあるわけでもないし、辞めたいとも思わないし、体の衰えも感じないし、これはもう辞めなくていいんじゃないかなって。サッカーのキングカズさん(三浦知良)が56歳の今も現役を続けて、道を作ってくれている。その道を、僕も歩めたらなと」

── 現役や引退など、そのような線引きも、あまり意識されてない感じですか?

「そうですね。よく『勝って格好よく辞める』みたいなことを言う人もいますよね。でも、格好よくても悪くても、選手を目いっぱい続けて、自分の目標や夢をあきらめず追っていく......そんな選手は、たぶん、世界に数えるくらいしかいないと思うんです。カズさんもそうだし、僕もそうだと思いますし。

 こういうふうに、50歳を超えても、60歳近くになっても頑張っている選手のことは、日本以外の国の方たちも、絶対に応援してくれるんですよ。その応援の期待に応えることは、ちょっとやっていきたいなと思います」

── 今の話につながるのかもしれませんが、葛西選手といえば、金色の朱雀ヘルメットなどのファッションでも有名になりました。多くの人に見てもらえる競技者でありたい、あるいはジャンプという競技の人気を上げたい、という思いもあるのでしょうか?

「そういう思いは、ありますね。やはり日本ではまだ、ジャンプはなかなかお客さんが集まらない。ヨーロッパでは来るんですけど、日本では少なくて。オリンピックで金メダルとか取れると話題になってお客さんも集まってくるんですが、ワールドカップで優勝したくらいだとお客さんも集まってこない。

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