葛西紀明が『なんだこれ? 難しいな』とテニスにハマる理由 51歳で現役続行について「キングカズさんが道を作ってくれている」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

── ご自身の経験では、他競技をプレーすることがジャンプにどう生きていると感じますか?

「瞬発性だったり持久力は、陸上で養えたと思います。ジャンプもツアーを転戦するので、年間を通して戦える体力がないとダメだと僕は考えています。

 あとは、けっこう大きいのが判断力。テニスなどの球技ですと、どこにボールが飛んでくるのかを予測し動きますが、そういう訓練はすごく大事だなと思います。

 ジャンプもあの一瞬で、いろいろ考えなくてはならない。手ひとつ動かすにしても、気づいて反応するまで時間かかるんですよね。それを瞬時にパッと考える力は、球技などで養えるんじゃないかなと思ってやっています」

── ジャンプは一瞬で終わる競技という印象がありますが、持久力はかなり必要なのでしょうか?

「若手はたぶん、そう思ってないかもしれないですね。『そんなに毎日、走ってどうすんだ?』みたいに思っているかもしれないです。けれど僕のなかでは、やっぱり持久力もそうですし、体力は絶対に重要と思ってトレーニングしています。年間のどこかで疲れることや体調を崩したりは絶対にあるので、体力をつけなくてはならない。

 さらに長距離を走ることは、メンタルトレーニングだとも思っています。走りながらでもいろんなことを想像したり、考えたり、イメージを作ったりできるので、そのへんはもう一番大事なことだなと思います。

 それを大事だと思ってなかった若手たちが体力切れしているのを見ると、『ほらなっ』って思います(笑)。まだまだ足りないから、そこが違うんだと思います」

── そのトレーニングの成果もあり、葛西さんはこれだけ長いキャリアを誇り、『レジェンド』と呼ばれています。どのような目標やモチベーションを抱き、飛び続けているのでしょうか?

「はじめは『オリンピックの金メダルを絶対に取りたい』っていう思いでやっていました。もちろん今でも、その気持ちに変わりはないです。ソチオリンピックで銀と銅メダルを取った時も、自分のなかでは『悔しかった、金メダル取りたかった』っていう気持ちではあったんです。

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