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大坂なおみ「今の私は違う人」。
抗議行動もモチベーションにつなげている (3ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Reuters/AFLO

 また、この試合では大坂のメンタルの成長が垣間見えた。苦しい展開にラケットを投げて、今大会で初めて負の感情を発露させてしまった場面もあったが、ファイナルセットでの難局を乗り越えて勝利に辿り着く、決してあきらめない強いメンタルを披露した。

 新型コロナウイルスの世界的大流行によるツアー中断を経て、復帰戦を迎えた時、「すべて(コロナウイルス)が始まった以前と、今の私は違う人かもしれませんね」と自己分析している。

 その言葉通り、ツアー中断中に自分を見つめ直して、シャイな自分とは決別すると宣言した。黒人人種差別へ抗議し、"Black Lives Matter"のムーブメントにも賛同し、SNSから自分の意見をしっかりと主張している。もともと内気で口数の少ない女の子であった姿からすると、想像を超えるようなアクティブな活動ぶりだ。

 さらに、大坂はUSオープンでの毎試合入退場時に、黒人人種差別関連の不幸な事件で亡くなった黒人の名前がプリントされたマスクをつけており、アメリカだけでなく世界から反響を呼んでいる。そこには、少しでも多くの人に知ってもらいたいという大坂の狙いがある。

 これは通常、大会で認められない行為なのだが、今回のUSオープンでは、「Be Open」というキャンペーンが展開されており、人種、ジェンダー、SOGI(性的志向・性自認)などへの公正や平等のメッセージを身につけることがグランドスラムで初めて許可された。

"Black Lives Matter"がきっかけになっているが、大会期間中に政治的なメッセージやヘイトスピーチでなければ、試合前と後での選手からのメッセージの発信が認められている。

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