2020.09.08

ジョコビッチ失格時は昼寝中。
泰然自若の大坂なおみが戴冠へ前進

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

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「完勝」と言って、差し支えないだろう。

 得意のサーブが猛威を振るい、相手に与えたブレークポイントはなし。エースこそ4本にとどまったが、第2セットのファーストサーブポイント獲得率は100%を叩き出した。

相手を圧倒して準々決勝に駒を進めた大坂なおみ 相手のサービスゲームを破った回数は、得たチャンスの数からすれば、やや少なめ。だがそれは換言すれば、チャンスを逃しても集中力を切らさず、最後まで自身を律した証でもある。

 とくに第2セットでは、8度のブレークの機を逃したが、そのたびに「彼女はすばらしい選手だし、相手がいいサーブを打っているのだから仕方ない」と自らに言い聞かせ続けた。結果、"9度目の正直"でブレークを奪い、そのまま試合に終止符を打つ。

 試合時間、1時間12分。スコアは6−3、6−4。10日前の前哨戦でも対戦し、その時は4−6、6−2、7−5と苦戦した相手を深夜の再戦で退けて、大坂なおみがUSオープンベスト8へと駆け込んだ。

 センターコートの最後に試合が組まれた大坂にとっては、奇妙で長い一日だったろう。

 同コートの第2試合では、今季無敗のノバク・ジョコビッチ(セルビア)がゲーム間に無造作に打ったボールが線審を直撃し、失格となる事態が起きた。

 夜7時から始まったナイトセッション1試合目では、デニス・シャポバロフ(カナダ)対ダビド・ゴファン(ベルギー)が3時間30分の熱戦に及び、大坂たちがコートに入った時には、時計の針は夜11時を指していた。

 ただ、この異様な事態にも、大坂は泰然自若としていたようだ。

 ジョコビッチの試合時には「寝ていた」ため、何が起きたかリアルタイムで知ることはなかったという。アーサー・アッシュ・スタジアムのラストマッチを務めるのも、今大会早くも2度目。

「基本的には太陽の下の試合のほうが好きだけれど、アーサーアッシュで戦うUSオープンのナイトマッチはとてもスペシャル」と言う2年前の優勝者に、動揺はなかったという。