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「日本ラグビーに捧げてきた」来日10年目に悲願の代表入り 30歳のオーストラリア人がエディージャパンを救う

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

 日本でラグビーをプレーして10年目──。

 悲願の日本代表入りを果たした「オーストラリア出身選手」がいる。

 6月12日、エディー・ジョーンズ体制2年目のスタートとして、ラグビー日本代表37名が発表された。現役大学生や社会人1年目など13人が初めて日本代表に選出されるなか、30歳のSOサム・グリーン(静岡ブルーレヴズ)の名前もあった。

※ポジションの略称=HO(フッカー)、PR(プロップ)、LO(ロック)、FL(フランカー)、No.8(ナンバーエイト)、SH(スクラムハーフ)、SO(スタンドオフ)、CTB(センター)、WTB(ウイング)、FB(フルバック)

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来日10年目にして日本代表入りを果たしたサム・グリーン photo by Saito Kenji来日10年目にして日本代表入りを果たしたサム・グリーン photo by Saito Kenjiこの記事に関連する写真を見る 身長178cmのグリーンはFBでもプレー可能なマルチプレーヤーで、パス、キック、ランと3拍子揃ったゲームコントローラーでもある。ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が掲げる「超速ラグビー」にフィットするのでは──と、以前から期待されていた選手だ。

 司令塔である10番のポジションは、今の日本代表で最も層が薄いポジションのひとつ。今回選ばれたSOとFBの4選手について、ジョーンズHCは「宮崎で見て、誰にどのポジションを任すかを決める」と話していたが、グリーンは10番で起用された。

 6月16日から始まった宮崎合宿で、グリーンは初招集と思えないコミュニケーション力を発揮する。ランとパスを巧みに織り交ぜ、積極的にアタックをリードしている姿があった。

「トレーニングでは、いいアタックのモメンタム(勢い)が作れています。10番のジャージーを着てプレーするのは好き。どのポジションでも与えられた役割をプレーするつもりです」

 6シーズン目を迎えた静岡では14試合中9試合で10番を背負い、チームを初のプレーオフ進出に導いた。そして6月上旬、長野・菅平で行なわれた強化合宿の参加を経て、念願だった日本代表入りを果たした。

「日本代表の仲間入りができたこと、本当にうれしいです。自分の能力には自信がありますし、チームメイトたちとつながりたいと思っています。これからの試合が本当に楽しみです!」

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著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

【写真】笹崎里菜アナ&忽滑谷こころアナ(日本テレビ)「日テレ女子アナラグビー部」インタビューカット

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