広岡達朗が阪神・藤川監督の采配に警鐘 「強引な野球はハマればいいが、相手に流れが渡る危険性がある」
交流戦の開幕直後、オリックスに3連勝した阪神は、このまま一気に貯金を増やすのではないか──。そんな期待が膨らんだのも束の間、そこからまさかの7連敗。一時は貯金も減らしたが、それでも首位の座は守り続けている。
阪神の戦いぶりに対し、広岡達朗は「今のままでは危ない」と警鐘を鳴らす。進塁打が打てない。エラーが多い、記録に残らないミスも目立つ。ベンチワークは大雑把で、奇策も裏目。投打が噛み合わないのは、偶然ではなく必然だ──。そう断じたうえで、若き藤川監督の采配にも厳しい目を向ける。
セ・リーグ首位を走る阪神・藤川球児監督 photo by Koike Yoshihiroこの記事に関連する写真を見る
【負けた理由を究明すべき】
「もともと阪神の戦力は整っており、交流戦で一気に貯金を増やすかと思っていたが、8勝10敗に終わってしまった。ふつうなら首位陥落しても不思議ではないのに、ほかのチームも負けが込んで追いつけない。セ・リーグにとってはなんとも不甲斐ない交流戦だった。これだと交流戦をやっとる意味がない」
広岡は交流戦の阪神の戦いについて、次のように語った。
「負けている試合を分析すれば、その理由ははっきりしている。進塁打を打たないから残塁は増えるし、失点につながるエラーも多く、ほかにも記録につかないミス、さらにベンチワークと、どれをとっても大雑把。ファームから若手を上げて使わないし、打てなくなると奇襲攻撃をかけて失敗する。すべてが裏目、裏目に出ている。
そういう時こそ原因を究明して、チームを鼓舞し、勝とうという雰囲気づくりを率先していくものだが......。監督の藤川は理論派と言われているそうだが、敗戦後のインタビューでは『明日頑張ります』と、誰でも言えることしか言わん。ヘッドコーチを排除したのは、各コーチから直接意見を聞きたいからだと思うが、その話をきちんとまとめる能力があるのかどうか」
リーグ戦の勢いのまま交流戦に突入した阪神は、最初にオリックスに3連勝したことで、「オレたちは強い」と過信したかどうかはわからないが、それ以降、投打が噛み合わなくなり7連敗を喫した。
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著者プロフィール
松永多佳倫 (まつなが・たかりん)
1968 年生まれ、岐阜県大垣市出身。出版社勤務を経て 2009 年 8 月より沖縄在住。著書に『沖縄を変えた男 栽弘義−高校野球に捧げた生涯』(集英社文庫)をはじめ、『確執と信念』(扶桑社)、『善と悪 江夏豊のラストメッセージ』(ダ・ヴィンチBOOKS)など著作多数。