大坂なおみ、臆病だった16歳からの成長。自らの言動でテニス界を動かす (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 26日の夜に同大会で試合をしていたミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は、試合後の会見で大坂の決断について尋ねられると、「NBAがそうしたように、我々も男女のツアーが一体となってサポートしていくべきだ」と、支持の意志を強く明言。

 果たしてその数時間後には、ATP(男子ツアー)、WTA(女子ツアー)、そしてUSTA(全米テニス協会)が共同で「今、世間で起きていることへの喚起を促すためにも、明日27日はウェスタン&サザンオープンを中断する」との声明分を発表。なお、棄権表明をしている大坂の試合がどのような扱いになるかについては、この時点では言及されなかった。

 今大会で幾度も自らの人間的成長に言及してきた大坂は、3回戦を終えたあとの会見で、16歳当時の自分を次のように述懐していた。

「かつての私は、とても臆病だった。トップ選手と顔を合わせることを恐れて、ロッカールームにすら行かなかった」

 その16歳時の大坂を取材した『スポーツ・イラストレイテッド』電子版の記事には、当時の大坂の次のような言葉が載っている。

「私はネットを見ないようにしているの。だって、ネットでは『彼女はBlasian(ブラックとアジアンを合わせた造語)なの?』という話題ばっかりだから。Blasianって一体なに? 私は日本人であり、そして黒人よ」

 かつて、ネットでの心ない言葉や風評に傷つき、スマートフォンすら手にしなかった少女は、その6年後には自らの言葉で意思表明し、行動でテニス界を動かすまでになった。

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