ラグビー早稲田が明治にリベンジできた理由。全部員の結束と4年生の「プライド」 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

【相良親子の願い】

 相良主将は言った。

「相手がどうのこうのではなく、自分たちとして何にこだわるか、もう一度、原点を見つめ直したい」

 原点とは?

「去年負けて、学んだことなんですけど、スキルとかじゃなく、気持ちというか......。『タフチョイス』『1000分の1のこだわり』です」

 相良主将は早大の105代目の主将となる。父の前早大監督の相良南海夫氏が74代目(1991年度)の主将だった。ラグビー部のノンメンバー、そして父の思いも背負って国立に挑む。

 記者と交わるミックスゾーンでの別れ際、「おやじさんも喜んでいるでしょう」と声を掛ければ、相良主将は顔をくしゃくしゃにして言った。

「はい。"一緒に初詣に行こう"って言われていたんです」

 元旦。東京・上井草のラグビーグラウンドそばの井草八幡宮。相良親子の祈願は「必勝」に決まっている。

【著者プロフィール】松瀬学(まつせ・まなぶ)
スポーツジャーナリスト。日本体育大学スポーツマネジメント学部教授。元共同通信社記者。長崎県出身。早大ラグビー部ではプロップで活躍。1987年の第1回大会からすべてのラグビーW杯を取材。また夏季五輪も1988年ソウル大会から2021年の東京大会まで9回取材している。著書に『荒ぶるタックルマンの青春ノート 石塚武生のラグビー道』(論創社)、『ONE TEAMのスクラム 日本代表はどう強くなったのか?』 (光文社新書)など。

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