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スラムダンク奨学生・猪狩渉
「小さくてもできることを証明したい」 (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文・写真 text & photo by Miyaji Yoko

 本来、IMGアカデミーでは夏の間のキャンプに参加するだけだった。だが、大学生やプロ選手に交じって練習したときのプレーがコーチの目に留まり、「お前、もしよかったらウチでプレーしないか?」と勧誘された。そして、奨学金のスタッフと相談した結果、秋になってからも(スラムダンク奨学生受入校の)サウスケントには戻らず、IMGで続けることにしたのだった。

 IMGアカデミーは、サウスケントなど他のプレップスクールと少し違う。他のプレップスクールはシーズンが始まる段階で12人前後に絞るため、シーズン通してベンチ入りすることが決まっているのに対し、IMGは20人以上の選手がいて、その時々の活躍を見ながら、「ナショナルチーム」と「ブルーチーム」に振り分けて試合を戦う。つまり、常にチーム内で競争があり、ブルーチームからナショナルチームに昇格する選手がいると思えば、逆にナショナルチームからブルーチームに落とされる選手もいるのだ。

「毎日が競争ですね。いくらでも代わりはいるので、毎日の練習も気が抜けない。常に危機感をもって練習しています。僕は最初のころはブルーチーム、つまり2軍で、ナショナルチームに入っていなかったんですけど、ハードワークやディフェンス力を買われて、1ヶ月経ったあたりからナショナルチームにも入るようになって、今は両方のチームでやらせてもらっています」

 アメリカでバスケットボールをやる上で、「一番大変だと感じることは何なのか?」と聞いたところ、「常識が通用しないところ」という言葉が返ってきた。

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