スラムダンク奨学生・猪狩渉「小さくてもできることを証明したい」 (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文・写真 text & photo by Miyaji Yoko

「たとえば、普通にチェストパスをしても、相手の腕が長かったりするので、普通のパスが通らない。また、抜いたと思っても、後ろから手が飛んでくる。ノーマークでレイアップを打とうとしても、後ろからデカい奴が跳んでくる......。今までの自分の概念が壊されたので、考えてプレーするようになりました。どうやったらパスが通るのか、どうやったらシュートが打てるのか。小さいなりに、コートでの存在価値を考えるようになりました。

 僕は能代工業でやってきて、ディフェンス力や脚力はアメリカ人よりもあると思うんです。今はベンチから出る役割がほとんどなので、とにかく前線からプレッシャーをかけてスティールを狙ったり、ゲームの流れを変える役割になりたいと思ってやっています。

 あとはひとつ、こちらで習得したのは、オフェンス・チャージングをもらう技術。正直、ミニバスからバスケットを始めて、今まで試合でオフェンス・チャージングをもらったことなかったんです。その技術のもらい方や、感覚もわからなかったんですけれど、アメリカではオフェンス・チャージングをもらうことは、『流れを変える』という意味ですごく重宝されて褒められる。

 なので、いろんなチームメイトと1対1をしながら、どうコースに入るか、どう倒れるかという技術を、とにかくすごく練習した。1試合で2~3回はオフェンス・チャージングを取れるようになりました。小さくてポストアップされることもあるので、常にオフェンス・チャージングを狙っています。

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