【WBC 2026】メジャーのトレンドに逆行 ダルビッシュ有も太鼓判を押す侍ジャパン・藤平尚真の「特殊フォーム」の正体
藤平尚真、侍ジャパンまでの軌跡(後編)
「速度×質量=運動量」──ボールにより大きな力を与えるため、投球動作をどのように行なえばいいかは広く知られるようになった。
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)連覇を目指す日本代表のエース・山本由伸(ドジャース)がわかりやすい例だが、メジャーリーグを見ても、その法則を体現している投手が増えている。
一方、侍ジャパンが2月に行なった宮崎合宿で、藤平尚真(楽天)の投球フォームを「ちょっと特殊なフォーム」と評したのが、アドバイザーのダルビッシュ有(パドレス)だった。
ダルビッシュ有(写真左)のアドバイスを聞く藤平尚真 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【打者が嫌がる投球フォームを確立】
連覇を阻もうとするアメリカやドミニカ共和国は、MLB屈指の強打者を揃える。だが、メジャーの潮流とは一線を画す藤平のスタイルに、彼らは容易に対応できるのだろうか。ダルビッシュは言う。
「今のアメリカの投手は、足を上げたらすぐに並進運動を加速させるのが基本的なトレンドです。足を上げてからゆっくり"ため"をつくる動作はあまりない。ということは、打者もそうした動きには慣れていないはずです。慣れていなければ、やはり対応は難しくなると思います」
MLBの平均から外れる存在──。前回のWBCでは、吉井理人コーチがそうした視点で投手陣を選出し、それが日本代表の大きな武器となった。今回もまた、その路線が踏襲されているように感じられる。
藤平が「ちょっと特殊なフォーム」になったのは、野球人生をかけた中継ぎ転向後だった。
「しっかり自分のフォームについて、『これが相手バッターの嫌なフォームなんだな』と気づいて、しっかりそれを確立したのが1年半前ぐらいですかね」
プロ入りから7年間、思うような結果を残せず、戦力外通告も覚悟し、迎えた2024年。リリーバーとして、藤平はついに花開いた。
もともと軸足でしっかりと立って投げるタイプだったが、より長く"ため"をつくるようになったのは、打者との駆け引きを意識してのことだろうか。
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。


















