【WBC 2026】メジャーのトレンドに逆行 ダルビッシュ有も太鼓判を押す侍ジャパン・藤平尚真の「特殊フォーム」の正体 (3ページ目)
足を上げることで位置エネルギーが生まれると言われることもあるが、藤平にはそうした目的はない。力を生み出すうえで意識するのは、並進運動の「速度×質量」だ。
「並進のスピードをできる限り上げる。体に重さがあればあるほどスピードは出ます。ただ、体重が重すぎて並進のスピードが落ちてしまうと、左足を着いた時のブレーキ動作もしっかりできなくなるので、一番意識しているのは速く並進して強く止まることです」
【硬いマウンドの国際大会は追い風】
藤平が力を発揮するうえで、国際舞台はむしろ追い風になる可能性がある。WBCでも採用されるMLB仕様のマウンドは、日本のそれと比べて土が硬いという点だ。
「硬ければ硬いほど好きですね。逆に柔らかいマウンドだと、変な"間"ができるというか、足元がグニュっとなる。その分、自分で着地してから力を出さないといけなくなるんです。僕は並進でスピードを出して、マウンドが硬ければ硬いほど強く止まれる。強く止まれれば、リリースに向かってどんどんスピードが上がっていく、というイメージです。だから硬い分にはまったく問題ない。もちろん、そこでコントロールできなければ意味はないですけど、出力に関しては大丈夫かなと思っています」
投球理論に裏打ちされたフォームで出力を最大化し、打者との駆け引きで三振を奪う。中継ぎ転向からわずか2年で日本屈指のリリーバーとなり、侍ジャパン入りを果たした。それでも本人は「一番下」と言うが、中継ぎの専門職が限られる今回の陣容では、藤平は間違いなくカギを握るひとりになるだろう。
数年前に現役引退を覚悟したところから、世界一を目指して戦える現状をどう捉えているのか。
「世界一を狙う大会に出場できるとは、想像もしていませんでした。めぐり合わせもあって選んでいただいた部分もあると思いますし、自分にとっては大きなチャンスだと思っています。できる限り優勝に近づけるパーツになれるように、精いっぱい頑張りたいです」
世界中からトッププレーヤーが集い、特別な視線が注がれる大舞台。そのすべてをぶつけ、世界の打者をねじ伏せてほしい。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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