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【F1】アストンマーティンの組織の弱点を浅木泰昭が指摘 ホンダには愛ある喝「サムライのように戦うべきだ!」

  • 川原田 剛●取材・文 text by Tsuyoshi Kawarada

元ホンダ・浅木泰昭 連載
「F1解説・アサキの視点」第11回 後編

 2026年シーズン、ホンダ製のパワーユニット(PU)を搭載するアストンマーティンは、開幕から苦しい戦いが続いている。また、2025年までホンダと組み優勝争いを演じたレッドブルも厳しいレースを仕入れられる状況だ。

 大きな期待をされていたレッドブルとアストンマーティン・ホンダが低迷する背景とは? また勝つために組織に何が必要なのか? 元ホンダ技術者でF1解説者の浅木泰昭氏に話を聞いた。

マイアミGPで完走したアストンマーティン。振動問題もほぼ収まり、今後はパフォーマンス向上がカギとなる photo by HRCマイアミGPで完走したアストンマーティン。振動問題もほぼ収まり、今後はパフォーマンス向上がカギとなる photo by HRCこの記事に関連する写真を見る

【アストンマーティンに足りない人材】

 ホンダがパートナーシップを組んだアストンマーティンとレッドブルに共通点は多いと思います。レッドブルの創業者ディートリヒ・マテシッツさんと、アストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロールさんはともに優秀なビジネスマンで、絶対的な権力を持つチームのリーダーです。ふたりは勝利に対する並々ならぬ情熱も持っています。

 でも大きな違いは、マテシッツさんのそばにはレースのことをよく知っている人間が常にいたことです。レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めたヘルムート・マルコさんと、トロロッソ(現レーシングブルズ)のチーム代表を務めたフランツ・トストさんです。

 マルコさんはマテシッツさんの代弁者としてチーム内の意思決定に深く関わり、レッドブルとトロロッソのドライバーの人事権も持っていました。トロロッソの代表を務めていたトストさんは若手ドライバーの育成に携わっていましたが、ホンダとレッドブルがパートナーシップを組むきっかけも作ってくれました。

 同郷の3人は結束力があり、"オーストリア・マフィア"と呼ばれることもありましたが、そういう人脈がないストロールさんは、チーム内の重要な決定をする際に全部自分で判断していた可能性があります。きっと見えないところがあったのでしょう。開幕戦からのアストンマーティン・ホンダの低迷は、ストロールさんが自分ひとりでやることの限界を示していると思います。

 これまでマクラーレンやレッドブルなどで数々のチャンピオンマシンを手がけたエイドリアン・ニューウェイさんはF1でもっとも優秀なデザイナーで、彼に技術面をすべて任せて、最新の設備が整ったファクトリーで思いどおりにやってもらえば結果が出るだろう......。そのストロールさんの判断は間違っていない可能性もあったと思いますが、結果論だけで言えば、天才ひとりではチームがうまく機能しなかった。

 ストロールさんは今、マテシッツさんにとってのマルコさんやトストさんのような人材を探していると思いますが、そう簡単には見つからないかもしれません。

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著者プロフィール

  • 川原田剛

    川原田剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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