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【WBC 2026】メジャーのトレンドに逆行 ダルビッシュ有も太鼓判を押す侍ジャパン・藤平尚真の「特殊フォーム」の正体 (2ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Daisuke Nakajima

「そうですね。僕はほかの投手のように、圧倒的なボールを持っているわけではありません。だからこそ、打者がどうすれば嫌がるのかを常に考えながら投げています。そのなかで、動作を長く保ち、しっかり"ため"をつくってから投げるようにすると、150キロ前後でも打者が差し込まれるイメージがありましたし、空振りも増えた。『これは自分の武器にできる』と思い、取り入れました」

【横浜高校時代に築かれた基礎】

 ブルペンで軸足に体重を乗せる時間を計測すると、3.50秒、2.32秒と、1球ごとにばらつきがあった。手動による計測のため数値はあくまで目安だが、意図的にタイミングをずらしているのだろうか。

「足を上げた時に打者を見て、『タイミングをずらせる』と感じた時は、あえて長く足を上げています。足を上げてタイミングを取る打者には、長く"ため"をつくってから投げ始める。2秒ためる時もあれば、3秒の時もある。場合によっては、一度しっかり立ってから動作に入ることもあります。

 あとは、マウンドの傾斜にしっかり入っていくイメージです。足を上げたところでのタイミングの取り方が少し特殊なだけで、それ以降の動きは、そこまでほかの投手と変わらないと思います」

 時間にすれば、軸足に乗って"ため"をつくるのはわずか2〜3秒。だが、プロの投手にとって、その数秒のタイミングを操ることは極めて繊細な作業だ。

「本当にそうです。一見すると簡単そうに思われるかもしれませんけど......。いまの代表メンバーの練習を見ていても、『やっぱり意識がすごく高いな』と感じます。ひとつズレると、その後も連鎖するようにズレていく。僕自身も、重心の位置や指先、つま先までしっかり立つことを意識しています。ほんのわずかなズレが、その後の動きすべてに影響してしまう。だからこそ、そこは練習で繰り返し確認しています」

 繊細な作業を精密に遂行できるのは、10代から積み重ねてきた努力の賜物だろう。高校時代の映像を見ても、藤平は軸足でしっかりと立ってから投げているが、横浜高校の先輩である松坂大輔(元西武など)や涌井秀章、柳裕也(ともに中日)らを彷彿とさせる。同校のよき伝統として、受け継がれているのだろうか。

「あると思います。やってきた練習は、松坂さんも涌井さんも僕も同じですし、基礎となる部分は、やっぱり高校までにできあがるものだと思っています」

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