【WBC 2026】「今年ダメなら野球をやめる」 引退を本気で考えた藤平尚真が侍ジャパンにたどり着くまで
藤平尚真、侍ジャパンまでの軌跡(前編)
連覇を狙う第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け、侍ジャパンは2月14日から24日まで宮崎合宿を行なった。期間中、ブルペンでは連日、豪華な投球セッションが繰り広げられた。
低い腕の位置から独特の軌道を描く大勢、浮き上がるような速球を武器にする松本裕樹。そして中継ぎのスペシャリストとして、重要な役割を担うのが藤平尚真だ。
辞退した平良海馬の代役として侍ジャパンに選出された藤平尚真 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【侍ジャパン投手陣のなかで一番下】
「正直、自分はこのチームで本当に一番下だと思っています。自分の実力だけで(代表に)入れたとは思っていませんし、井端弘和監督に自分のいろいろな部分を見ていただいたうえでの代表入りだと感じています」
2024年11月に開催されたプレミア12では、再三にわたる好投を見せ、翌年は62試合に登板して、防御率2.11。29試合連続無失点を記録したままシーズンを終えた。
今回、侍ジャパン入りを果たしたが、投手陣のなかで「一番下」と卑下するのは、左ふくらはぎの肉離れにより辞退した平良海馬の代役で追加招集されたからなのだろうか。
「いや、シンプルにボールを見たら『すごいな』って感じるピッチャーばかり。それに僕の場合は、『野球、もう引退だな』ってほんとに覚悟したところからの始まりだったので。順調にメジャーとか、沢村賞とかに向かっている選手たちがギラギラしながらやっているので、本当にうらやましいなと思います」
周囲に羨望のまなざしを向けていた藤平は、自分自身にピントを合わせた。
「下という言い方が正しいかはわからないですけど、能力的にずば抜けたものが自分にあるかといえば、そうではないと思っています。ただ、泥臭く投げること、どんな手を使ってでも打者を抑えること、そして何がなんでもゼロで抑えてマウンドを降りること。それが自分の強みだと思っています。僕はこの投手陣のなかで一番下だと考えながら野球をやっているので、失うものはないですし、自分の持っているものをすべて使うつもりでやります」
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著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。


















