【WBC 2026】「今年ダメなら野球をやめる」 引退を本気で考えた藤平尚真が侍ジャパンにたどり着くまで (3ページ目)
一般的に、野球選手がピークを迎えるのは20代後半だと言われる。それまでポテンシャルをなかなか発揮できずにいた当時25歳の藤平に浮上のきっかけを与えたのが、2023年まで楽天でコーチを務め、翌年から一軍の指揮を執ることが決まった今江敏晃監督だった。
「『もう今年で終わりなんだな』と思っていたら、監督が今江さんになって、『中継ぎは新しい道だと思うので、もう一度、挑戦してみよう』と言ってもらってスタートしました。ほかの代表の選手は、絶対そんな経験をしたことはないだろうし、もしかしたらいるかもしれませんが、かなり異例だと思います。そこから日本代表まで来ることができた。だからこそ、本当に失うものはありません」
2024年はリリーフとして開幕一軍入りを果たし、47試合に登板して20ホールド、防御率1.75を記録。シーズンオフのプレミア12では日本代表に選出され、チーム最多の6試合に登板した。6イニングで12奪三振、防御率0.00と圧巻の投球を披露した。
プレミア12でも示したように、リリーバーに転向した藤平の最大の武器は奪三振力だ。2025年シーズンのK/9(※)は9.96。ブルペンでも「決め球」と宣言してから投じるフォークは、空振り率47.3%を誇る。
※奪三振率。9イニングで三振をいくつ奪えるかを表した指標
最速157キロ、平均151.9キロのストレートに、昨季は7.3%の割合で織り交ぜたスライダーを加えたコンビネーション。三振を奪いきるこのスタイルは、中継ぎに回って見事に花開いた。
開花の裏には、リリーバーとしての工夫もある。
「藤平くんはちょっと特殊なフォームだから、自分が思うようにしっかり調整できれば、大丈夫だと思うよ」
侍ジャパンの宮崎合宿で、アドバイザーを務めたダルビッシュ有がそう太鼓判を押した投球フォームだ。
著者プロフィール
中島大輔 (なかじま・だいすけ)
2005年から英国で4年間、当時セルティックの中村俊輔を密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『山本由伸 常識を変える投球術』。『中南米野球はなぜ強いのか』で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。内海哲也『プライド 史上4人目、連続最多勝左腕のマウンド人生』では構成を担当。
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