【サッカー日本代表】負傷者続出の海外組、セルジオ越後は「厳しい。誰かが治ったと思ったら、今度は違う誰かがケガをする」
セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(28)
負傷して担架で運ばれる遠藤航。ワールドカップまでに復帰できるかは不透明だ photo by REX/Aflo
北中米ワールドカップイヤーの今年、サッカー日本代表に気がかりな問題が浮上している。メンバーの大半を占める海外組に、負傷者が相次いでいるのだ。来月には"最終選考"の場となるスコットランド戦とイングランド戦が控える。おなじみのご意見番、セルジオ越後氏はこの状況をどう見ているのか。
【レベルの高いリーグほど負担は大きい】
世間の話題を見ていると、今年がワールドカップイヤーという実感があまり湧かないね。ミラノ・コルティナ五輪、WBCと大きなスポーツイベントが続くので仕方ないのかなと思う一方で、日本代表メンバーのほとんどを占める海外組の明るいニュースが少ないことも影響している気がする。
特に、相変わらずケガ人が多いのは心配だ。昨年も町田浩樹(ホッフェンハイム)、鈴木彩艶(パルマ)、南野拓実(モナコ)といった主力が大ケガを負って、鎌田大地(クリスタル・パレス)も年末に離脱(今月復帰)。今年に入ってからも、久保建英(レアル・ソシエダ)、遠藤航(リバプール)、瀬古歩夢(ル・アーヴル)と次々に負傷者が出ている。もちろん、ケガの程度はまちまちで、どちらかといえばワールドカップに間に合う選手のほうが多いだろう。
でも、大事なのは単にケガから復帰することではなく、ワールドカップ本番までにどこまでケガをする前のパフォーマンスに戻せるのかだ。
この2月に1年以上ぶりの実戦復帰を果たした冨安健洋(アヤックス)はその後、出場機会を得られていない。同じく昨年11月に長期の故障から復帰した伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)もコンスタントに試合に出ているものの、DFなのにリーグ戦でフル出場がないのは気になる。
誰かが治ったと思ったら、今度は違う誰かがケガをする厳しい状況。でも、それだけ今のサッカー、特にヨーロッパの高いレベルのリーグほど選手にかかる負担は大きく、みんな無理をしているのだろうね。
例えば、遠藤はボール際ではつねに格闘技みたいにファイトしながらも、これまで大きなケガなくやってきた。僕から見ればスーパーマンみたいなイメージがあった。そんな彼まで負傷してしまうのだから。ヨーロッパでプレーする選手がここまで増えたからこその悩みで、森保一監督も頭が痛いだろう。
また、ケガの話とは別に、攻撃的なポジションの選手たちに元気がないのも気がかりだ。
主力で言えば、オランダで好調だった上田綺世(フェイエノールト)は今年に入ってからノーゴール。三笘薫(ブライトン)も以前のようなワクワク感のあるプレーをなかなか見せられない。そして、堂安律(フランクフルト)だよ。シーズン開幕当初の勢いはなく、上田同様に今年はノーゴール。不調のチームに足を引っ張られているね。
今の日本代表において、堂安は鎌田と並んで攻守において戦術の要になる選手。前回のカタールワールドカップで見せた勝負強さからもわかるように、もともと攻撃のセンスは高い。加えて、最近は守備もすごくいい。運動量が多く、日本がここをやられたら危ないという場面では、必ずしっかり戻って守れる。ワールドカップで勝つためには彼の復調は欠かせない。
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著者プロフィール

セルジオ越後 (せるじお・えちご)
サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

