能代工で控え選手だった猪狩渉が「スラムダンク奨学金」に応募した想い

  • 宮地陽子●取材・文・写真 text & photo by Miyaji Yoko

スラムダンク奨学金8期生・猪狩渉インタビュー@前編

 2015年3月に渡米して約1年――。スラムダンク奨学制度(※)に応募し、トライアウトを経て見事に合格。第8回奨学生に選ばれた猪狩渉(いがり・わたる)は、バスケットボールの本場・アメリカのコートで汗を流している。高校時代は控え選手だった彼が、スラムダンク奨学金に応募しようと思ったきっかけとは。

(※)スラムダンク奨学制度=漫画『スラムダンク』の作家・井上雄彦氏の、「バスケットボールに恩返しがしたい」との想いで設立されたプロジェクト。奨学生をプレップスクール(大学に進学するまでの私立学校)に派遣し、14ヵ月間、勉強とバスケットボールのできる環境を提供している。【スラムダンク奨学金ホームページ→http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp/

スラムダンク奨学金8期生としてアメリカに渡った猪狩渉スラムダンク奨学金8期生としてアメリカに渡った猪狩渉 第8回奨学生・猪狩渉は、子どものころからアメリカのバスケットボールに憧れを感じていた。

 最初のきっかけは、バスケットボールを始めた7~8歳のころに親戚のおじさんから見せてもらった市販ビデオテープ――『マイケル・ジョーダン/プレイグラウンド』。何度も繰り返し、巻き戻して見ながら、「自分もNBA選手になりたい」と憧れを抱くようになったのだという。

 中学生になるころには、「バスケットボールのプロ選手になる」という夢を持つようになった。高校は名門・能代工業に進学したが、1年と2年は応援係で、3年生になってようやくベンチ入りすることができたぐらい。ほとんど試合に出ていないので、当然、関東の強豪大学から勧誘されるわけもなかった。

「それでも夢をあきらめたくなくて、どうせ通用しないんだったら、よりレベルの高いところでもっと自分を磨きたいなと思った。そのときにちょうど、月バス(月刊バスケットボール)でスラムダンク奨学金の記事を見て、応募しようかなと思いました」と語る。

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