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能代工で控え選手だった猪狩渉が
「スラムダンク奨学金」に応募した想い (3ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文・写真 text & photo by Miyaji Yoko

 そして応募したら、書類選考を通過し、トライアウトのための渡米メンバーに選ばれた。彼にとって、海外に行くのは初めて。パスポートもこのとき、初めて取得した。

「トライアウトでピックアップゲームをやったんですけれど、そのときはたまたま調子がよくて。外のシュートも入りましたし、自分のスピードを生かしたドライブも通用した。

 能代では周りにいい選手がいたので、『周りを生かせ』と言われていたのですが、このトライアウトのときは、(スラムダンク奨学生受入校:サウスケント・スクールの)ジェファーソン・コーチから、『お前が点を獲りに行け』と言われて、その言葉がすごく新鮮だった。もともと中学のころは点獲り屋で、基本的に点を獲りたいっていう意識があったので。この言葉で、『自分の持ち味を出していいんだ』と思うようになり、自分をもっと出せるのはアメリカかなって思いました」

 トライアウトのメンバーのなかには自分より実績のある選手もいたが、アメリカに行ったら日本での実績は関係なかった。

「初めて実力で見てもらえた。それが、自分の自信にもつながりました」

 そして8期生に選ばれ、昨年3月に渡米――。当初は、英語も話すことができずに苦労した。だが、7期生の村上駿斗がいたおかげで、いろいろと教えてもらうことができたという。

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