スラムダンク奨学生・猪狩渉
「小さくてもできることを証明したい」
スラムダンク奨学金8期生・猪狩渉インタビュー@後編
スラムダンク奨学制度(※)でアメリカに渡った第8回奨学生・猪狩渉(いがり・わたる)は、言葉の通じない環境のなかで必死にバスケットボールと向き合った。そこで彼が手にしたモノは何だったのか。
(※)スラムダンク奨学制度=漫画『スラムダンク』の作家・井上雄彦氏の、「バスケットボールに恩返しがしたい」との想いで設立されたプロジェクト。奨学生をプレップスクール(大学に進学するまでの私立学校)に派遣し、14ヵ月間、勉強とバスケットボールのできる環境を提供している。【スラムダンク奨学金ホームページ→http://slamdunk-sc.shueisha.co.jp/】
全米で注目の若手、チームメイトのジョナサン・アイザックとツーショット 渡米して4~5ヶ月後、アメリカ人にナメられないように主張するようになった猪狩渉。自己主張の強さは、人一倍努力していることの自負、自信の表れでもあった。
IMGアカデミーでは、サウスケント・スクール出身のモーリス・ハークレス(現ポートランド・トレイルブレイザーズ)と知り合い、夏の間、トレーニングを一緒にやらせてもらった。そこで気づいたのは、うまい選手ほど練習している――ということだった。
「NBAやNCAAのディビジョンⅠのトップレベルの選手って、才能とか素質があるからと思われがちですけど、間近で見ると、うまい人ほど練習をしている。自分よりうまい選手が、自分よりも努力している姿を見て、『もっと練習しなきゃいけない』と思うようになり、意識も変わりました。『身長が低い(168センチ)』などという言い訳をする前に、まずは彼ら以上に練習をやってみるべきだと。
日本人選手は真面目で努力家だと思っていて、自分でもけっこうやっているつもりだったんです。でも、やっぱりそこは未知の世界で、本当に命をかけてNBAとかディビジョンⅠを目指している選手たちっていうのは、僕らが想像している『頑張っている』っていうレベルより、はるか上で頑張っていることに気づいた。気迫が違う。たとえば5対5をやるときも、言い方は悪いですけど、『殺すか殺されるか』みたいな、本当に殺気立った練習をしていた」
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