東大ラグビー部主将が振り返るターニングポイント 「ふざけんな!」が生んだ"現場"という合言葉
最強のふたり〜東大ラグビー再生物語(全6回/第2回)
東大ラグビー部で今シーズン、主将を務めるスクラムハーフの福元倫太郎は農学部で生命化学工学を専攻し、稲の根っこを対象として植物栄養の研究をしている。そして、囲碁がめっぽう強い。
「中2の時、全国大会で準優勝して取材を受けたことがあります。こういうインタビューはラグビーよりも囲碁のほうが先でした(笑)。僕は考えることが好きで、それがラグビーのおもしろさでもあるので、囲碁が好きだというのは自分のラグビーにつながっているところはあるんじゃないかと思っています」
中学時代、囲碁で全国大会準優勝の経歴を持つ東大ラグビー部主将の福元倫太郎さん photo by Sportivaこの記事に関連する写真を見る
【「現場へ行け」が変えた東大ラグビー】
99回目を迎えた東大と慶大の定期戦は8月11日、山中湖の慶大グラウンドで行なわれた。小雨のなかのキックオフから東大のディフェンスが慶大を苦しめる。前半、2つのトライを取られて0−14とされたものの、風雨が強くなる悪天候のなか、後半は東大が追い上げた。福元があの試合をこう振り返る。
「あの時のキーワードは『現場』という言葉でした。接点に人がいっぱい集まるように、とにかく『現場へ行け』と......僕らの弱点はボールが別の場所へ動いた時、離れたところから見ている選手が多いというところだったんです。
もちろん近代のトップレベルのラグビーの決まり事みたいに、ここはこの人がボールを出して、次のところでもらうつもりだから遠く離れていてもいい、というような戦術だったらいいんですが、僕らの場合はそうじゃない。そんなプレーが慶應との試合前日の練習で出てしまって、一聡さんが僕らにブチ切れたんです」
それは、こんなプレーだった。バックスが大外に回してトライを取れそうになった場面で、最後につかまってしまってトライが取れなかった。その時、自分たちの仕事はもう済んだとばかりに足を止めていたフォワードが「なんでそこにボールを回すんだ」「そんなところへ行かずに取り切れよ」「オレたち、こんだけ走ったんだから」と文句を言った。その瞬間、ヘッドコーチの高橋一聡の堪忍袋の緒が切れる。
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著者プロフィール
石田雄太 (いしだゆうた)
1964年生まれ、愛知県出身。青山学院大卒業後、NHKに入局し、「サンデースポーツ」などのディレクターを努める。1992年にNHKを退職し独立。『Number』『web Sportiva』を中心とした執筆活動とともに、スポーツ番組の構成・演出も行なっている。『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社)『イチローイズム』(集英社)『大谷翔平 野球翔年Ⅰ日本編 2013-2018』(文藝春秋)など著者多数。















