マンチェスター・ユナイテッド史上最強チームの名脇役 マイケル・キャリックに名手シャビも憧れた (3ページ目)
【新旧のカルテットをコントロール】
1999年にウェストハムでプロデビューしたあと、トッテナム・ホットスパーを経てマンチェスター・ユナイテッドにやって来たのは、2006年の夏だった。
当時の絶対王者は、サー・アレックス・ファーガソンと対立してセルティックに去った「ロイ・キーンの後釜」を探していた。
キーンは荒くれ者である。勝利のためなら手段を選ばず、時には対峙する相手の選手生命を奪うようなタックルさえ辞さない。冷静なキャリックとは対極のタイプだ。
「プレミアリーグやチャンピオンズリーグで好成績を維持するためには、より視野の広いMFが必要だ」
キャリック獲得の理由を問われたサー・アレックスは、こう答えている。
2006-07シーズンのマンチェスター・Uは、32歳のポール・スコールズが全盛期を彷彿とさせるプレーで中盤をオーガナイズし、33歳になったライアン・ギグスの一挙手一投足は多くのメディアが「アート」と表現するほど美しかった。
さらに22歳のクリスティアーノ・ロナウドが魔法のようなテクニックで個人賞を独占すれば、21歳のウェイン・ルーニーはその年齢が信じられないほどのしたたかさと驚異的な運動量で、各方面から高く評価された。
そして、彼ら新旧のカルテットを巧みにコントロールしたのが、27歳のキャリックである。先述の4選手が前がかりになっても、最良のポジショニングで穴を埋める。懐(ふところ)が深く、常に頭を動かしながら状況を把握しているため、プレスをかけられても動じない。
キャリックの貢献もあり、マンチェスター・Uはプレミアリーグを制した。ここから赤い悪魔の快進撃が始まる。
2007-08シーズンはカルロス・テベスとナニが加わり、前シーズンの冬に入団していたネマニャ・ヴィディッチ、パトリス・エヴラがプレミアリーグのリズムにフィット。サー・アレックスが依然として「史上最強」と胸を張るチームは、プレミアリーグとチャンピオンズリーグの二冠を達成した。
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