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マンチェスター・ユナイテッド史上最強チームの名脇役 マイケル・キャリックに名手シャビも憧れた

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

世界に魔法をかけたフットボール・ヒーローズ
【第16回】マイケル・キャリック(イングランド)

 サッカーシーンには突如として、たったひとつのプレーでファンの心を鷲掴みにする選手が現れる。選ばれし者にしかできない「魔法をかけた」瞬間だ。世界を魅了した古今東西のフットボール・ヒーローたちを、『ワールドサッカーダイジェスト』初代編集長の粕谷秀樹氏が紹介する。

 第16回のヒーローは、これまでと趣向を変えて「脇役」を取り上げたい。2006年から2018年までマンチェスター・ユナイテッドで300試合以上も出場した「世界屈指のアンカー」マイケル・キャリックだ。彼の存在なくして、史上最高のチームは成り立たなかった。

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マイケル・キャリック/1981年7月28日生まれ、イングランド・ウォールズエンド出身 photo by AFLOマイケル・キャリック/1981年7月28日生まれ、イングランド・ウォールズエンド出身 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る きらびやかなスポットライトを浴びる主役より、脇を固める演者に惹かれるケースがある。NHK大河ドラマ『べらぼう』で平賀源内役の安田顕は圧巻の演技だった。映画関係者によると、「脇を固める演者の存在感、演技力でストーリーが締まる」という。

 フットボールの世界も同様だ。日本代表の肝は守田英正であり、世界最強のアルゼンチンはアレクシス・マック・アリスターとロドリゴ・デ・パウルが超主役のリオネル・メッシを支えている。

「ワールドクラスのアンカーだ。もっと高く評価されていい」

 バルセロナの監督を務めていた当時のジョゼップ・グアルディオラが絶賛した。

「フットボールをよく知り、パスの強弱、ペースとリズムの管理、ポジショニングなど、パーフェクトなMFだ」

 ミランを率いていた時のカルロ・アンチェロッティも、賞賛していた。

 マイケル・キャリックである。

 1990年代にリオ・ファーディナンド、ジョー・コール、フランク・ランパードたちとともに、ウェストハムのアカデミーで研鑽を積んだ。ウェストハムは若手の育成に定評があり、最近ではデクラン・ライス(現アーセナル)を輩出している。

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著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

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