サッカー日本代表の低調だったオーストラリア戦を分析 同じ失敗を繰り返したのはベンチワークがないからだ
2026年W杯アジア最終(3次)予選第9節。アウェーでオーストラリアと対戦した日本は今予選で初黒星を喫したが、すでにW杯本大会出場を決めている日本にとっては、負けたこと自体にさほど意味はない。
しかしその一方で、この試合で見せた低調なパフォーマンスの原因を、代表経験の少ない新しいメンバーで戦った点だけに集約させて、浮き彫りになった問題点を直視しないことだけは避けたいところだ。
オーストラリア戦で森保一監督はベンチワークで変化を生み出さなかった photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photographyこの記事に関連する写真を見る この試合の全体像を振り返れば、スコアこそ違えど、昨年10月15日に行なわれたホームでのオーストラリア戦の再現と言えるような代物だった。その試合と今回の試合の両方で先発したのはDFの町田浩樹のみ。つまり、ベストメンバーでも新しいメンバーでも試合内容に大差がなかったのだから、少なくとも低調の原因がメンバー編成だけにあったわけではないのは火を見るよりも明らかだ。
言うなれば、日本が同じ失敗を繰り返してしまった試合。そのようにとらえるべきであり、今後に向けてしっかりと振り返っておく必要がある。そうでなければまた同じことが繰り返されるのは必至で、チームとしても進歩しない。
なぜ日本の攻撃は停滞したままだったのか。問題点を紐解くためにも、この試合で起きていた現象をあらためて振り返ってみる。
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著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)