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南野拓実は欧州サッカーシーンでタフに生き抜く 本領発揮は「ゴール前」 (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【ゴールが欲しければトップ下は南野】

 日本代表のトップ下、あるいはシャドーのポジション争いは非常にハイレベルなものになっている。久保建英、鎌田大地、南野の3人に対してポジションは2つ、あるいは1つなので、誰かはベンチに座ることになる。しかもプレースタイルが三者三様なので、単純な比較ができない。監督にとっては嬉しさ半分、悩みが半分というところかもしれない。

 久保はレアル・ソシエダでは右ウイングとして地位を築いていて、サイドからのドリブルで仕掛けられる。テクニックは随一。シュート力あるが、ゴール前というより、その手前からのドリブルシュートが武器だ。

 鎌田は戦術眼に優れ、より広範囲に動く。久保のようなウイングプレーはないがポケットへ入り込むプレーは十八番。久保がチャンスメーカー、鎌田はプレーメーカーというイメージだろうか。そして南野はゴール前特化型、決定力で勝負のセカンドトップだ。

 チャンスを作りたいなら久保、ゲームを支配したければ鎌田。南野のプレー関与率はふたりよりかなり低い。ただ、ゴールが欲しければ南野である。

 1978年W杯でアルゼンチン優勝の立役者となったマリオ・ケンペスに近いかもしれない。ケンペスも左ウイング、MF、CFでプレーした。しかし、実は何でもできるタイプではなかった。当時、あるジャーナリストはケンペスを評してこう書いていた。

「毎試合、ヒザで叩いて得点する奇妙な選手がいるとしよう。ただ私が監督なら、メンバーリストに最初に名前を記すのは彼になる」

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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