三笘薫がニューカッスル戦で見せた「優等生的」なプレー。マンCグリーリッシュとの違いは何か (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Richard Callis/MB Media/Getty Images

【気になったプレーの幅の狭さ】

 ブライトンが見せ場を作ったのは後半6分。その直前、GKジェイソン・スティールが、ニューカッスルの左ウイング、パラグアイ代表のミゲル・アルミロンのボレー弾を見事なセーブで阻止した直後だった。スコットランド代表の21歳、ビリー・ギルモアの針穴を通すような縦パスにウンダブが抜けだし、2-1と1点差に迫った。ブライトンのデツェルビ監督は、ベンチスタートとなったマクアリスターらを投入。追い上げムードを煽ろうとした。

 ところが、笛吹けど踊らず。流れは変わらなかった。なにより三笘にボールが渡らなかった。ボールに触れても断片的で、周囲に簡単に預けるシーンも目立った。プレー機会に加えプレー時間も少なかった。トリッピアを慌てさせるシーンはゼロ。その責任がどこまで三笘にあるのかは難しいところだが、先述したようにプレーが優等生的で、中心選手にしては、控え目すぎたことは確かだった。

 何と言っても敗れればCL本大会出場の夢が潰える一戦だ。「俺が、俺が」と我を張りすぎるのもよくないが、チーム内のポジションを考えると、もう少しボールに絡み、プレーに積極的に関与するべきだった。

 ともすると淡泊なプレーに映った。プレーの幅の狭さも気になった。ツボにハマれば、切れ味抜群のドリブル&フェイントで相手を翻弄する三笘だが、ハマらないと見せ場そのものがなくなる。前日、CL準決勝対レアル・マドリード戦で活躍したマンチェスター・シティの左ウイング、ジャック・グリーリッシュのどこか粘りのある、幅のあるウイングプレーとつい比較したくなった。

 欧州でも最高級のレベルにあるプレミアの、その上位対決は三笘の市場価値を占う試合でもある。そこでどれほど活躍できるか。次戦は最下位のサウサンプトン戦だが、その次はマンチェスター・シティ戦だ。グリーリッシュに負けない高級なウイングプレーを披露してほしいものである。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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