三笘薫がニューカッスル戦で見せた「優等生的」なプレー。マンCグリーリッシュとの違いは何か (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Richard Callis/MB Media/Getty Images

【ブライトンが悪いと言うよりニューカッスルがよかった】

 タッチライン際で構えるウインガーとはいえ、三笘が攻撃の核として機能しないと情勢は好転しない。シンプルにと言うか、あっさりとウェルベックにボールを預ける姿はどこか優等生的で、物足りなさを覚えずにはいられなかった。

 ニューカッスルに先制点(オウンゴール)が生まれたのはその7分後。トリッピアが蹴った左CKは、ブライトンFWデニス・ウンダブの頭を経由して、ブライトンゴールに飛び込んでいった。

 三笘に再びいい形でボールが渡ったのは前半37分。左SBペルビス・エストゥピニャン経由で足もとにボールが収まると、トリッピアと1対1になっていた。縦勝負を挑む絶好の機会だった。結果論で言うわけではないが、三笘が選択したのは、縦ではなく内で、一歩カットインすると右足でシュートを放った。吹かしたわけではないが、抑えは効いていなかった。「惜しい」という印象を残せぬまま、ブライトンの攻撃は終了した。

 追加点を奪われたのは前半の追加タイム。中盤で三笘が浮き球の処理を誤り相手ボールに転じると、慌てたウンダブが相手MFジョー・ウィロックを倒しFKに。そのボールを左SBダン・バーンが頭で合わせ、ニューカッスルは2-0とした。

 ブライトンが悪かったと言うより、ニューカッスルがよかったという印象だ。ニューカッスルといえばプレミアの中堅チームだ。マンチェスター・シティ、アーセナル、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー。近年、CLを賑わせたプレミア勢といえばこの5チームになるが、それ以外のチームとの実力差はつい3、4年前まで確実に存在していた。

 ニューカッスルが最後にCLに出場したのは2003-04シーズン。アラン・シアラーがCFを張っていた時代である。現在、20シーズンぶりのCL出場をかけて戦っているわけだが、その事実に上記5チームとの差を見る気がする。

 だが現在のニューカッスルには、来季CLに出場したら決勝トーナメントを十分戦っていけそうな可能性を感じる。その昔、スペイン勢が強かった頃、CLの準決勝、決勝にバレンシアやデポルティーボ・ラ・コルーニャが進んだことがあるが、当時スペインの第2グループだった両チームに似た気配をニューカッスルには感じる。ブライトン戦は、つまりプレミアのレベルの高さをあらためて思い知らされる一戦となった。

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