レアル・マドリードのベテランたちが見せた勝負どころの存在感。福田正博が感じたビッグクラブの過酷な日程を生き抜く術とは? (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

喜ばしいフランクフルトのEL優勝

 ドイツのブンデスリーガでは、バイエルンが10連覇を達成した。もちろん勝ち続ける難しさはあるが、背景を考えると、正直、この連覇にどれほどの価値があるのかと考えてしまう。

 今季からチームを率いたユリアン・ナーゲルスマン監督は、昨年まで指揮していたライプツィヒから主軸のマルセル・ザビッツァー(オーストリア代表)を獲得するなどしてシーズンに臨んだ。これに限らず、これまでもバイエルンは国内のライバルクラブから主力選手を引き抜いてきたため、ライバルが弱体化してきた面は否めない。

 ただし、裏を返せば、ブンデスリーガのバイエルン以外のクラブは、選手を育てて売ることで経営を安定させているところがある。

 世界中の資産家がサッカーに投資をするようになった現代では、資金の豊富なクラブが選手を買い漁り、それによって選手の年俸は高騰。この循環のなかでバイエルンがヨーロッパを舞台に勝負をしていくためには、ドイツ国内からいい選手をピックアップする手法しかないのかもしれない。

 ただ、バイエルンは今季のCLはベスト8でビジャレアル(スペイン)に敗退した。プレミアリーグのように国内での戦いが熾烈で、その影響がCLに出るのであれば仕方ないとは思うが、バイエルンのように国内でのプレッシャーがないクラブがCLで結果を残せないのは寂しくもある。

 ドイツの話題で言えば、鎌田大地や長谷部誠のいるフランクフルトがヨーロッパリーグ(EL)で優勝した。フランクフルトはカップ戦に強く、3年前もELの準決勝まで勝ち上がっていた。日本人選手がELのタイトルを手にするのは2002年の小野伸二(フェイノールト/UEFAカップ時)以来。ヨーロッパのサッカー史に、一度に2選手が名を加えたのは喜ばしいことだった。

 長谷部誠は、契約をまた1年延長することになったが、ドイツ語をマスターしているのも大きいだろう。郷に入れば郷に従えを実践してクラブからの信頼も厚い。だからこそ、監督が代わっても長谷部の存在感は変わらない面もあっただろうし、引退後は指導者としての手形が発行されたのだと思う。

 将来的にヨーロッパのトップリーグで監督として活躍する初めての日本人になる可能性が長谷部にはあるが、それはひとまず置いておいて、来季もプレイヤーとして存在感をいかんなく発揮してもらいたい。

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