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レアル・マドリードのベテランたちが見せた勝負どころの存在感。福田正博が感じたビッグクラブの過酷な日程を生き抜く術とは?

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■今シーズンの欧州サッカーはイングランド・プレミアリーグ勢の活躍が目立ったものの、チャンピオンズリーグ(CL)はスペインのレアル・マドリードが制した。「リーグとCL、両方を獲ることは難しく、面白い」と、福田正博氏は今季の欧州サッカーを振り返った。

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過酷なスケジュールをどうやりくりするか

 今シーズンの欧州サッカーは、最後にレアル・マドリードがチャンピオンズリーグ(CL)で、史上最多の14回目の優勝を飾った。大方の予想を裏切り、他のビッグクラブを次々と破っていくなかで際立ったのは、勝ち方を知るクラブの底力だったと思う。

 今シーズンの躍動に不可欠だったのが、FWカリム・ベンゼマだ。彼なくしてリーグとの2冠達成はなしえなかったと言えるほどの、圧倒的な存在感だった。

 クリスティアーノ・ロナウドが在籍していた頃は脇役に徹していたが、ロナウドがチームを去ったあとはゴールを決めるし、アシストもするし、味方のためにDFを引きつけてスペースをつくる動きもする。9番タイプのストライカーとして世界最高峰の働きを見せた。

 そのベンゼマを含めて、中盤のルカ・モドリッチ、カゼミーロ、トニ・クロースという経験豊富な選手たちが、7シーズンぶりに復帰したカルロ・アンチェロッティ監督の下で、試合を巧みにコントロールした。これも2冠達成の要因だったと言える。

 ビッグクラブともなると、1シーズンに60〜70試合ほどの公式戦を戦う。過酷なスケジュールのなかで、すべての試合に万全のコンディションで臨むことは不可能だ。

 そのなかでレアル・マドリードが勝利を重ねたのは、コンディションがよくない時には、中盤の3選手を中心に、多くの時間帯を言わばアイドリングのような状態でのらりくらり戦い、勝負どころで一気にパワーをかけて勝ち星を手にしてきたからだ。

 サッカーの内容云々ではなく、そうした戦いができなければ、あれだけの試合数を戦うなかでタイトルを手にできないということだ。さらに言えば、シーズン全体を俯瞰して「いま」はどうすべきかを考えてプレーできなければ、ビッグクラブの選手たちは務まらないのだと思う。

 Jリーグでも2〜3試合のタームのなかで、こうした「今なにをすべきか」ができるようなチームが出てきているが、レアル・マドリードはその遥か先まで見通せる選手たちがいるということだ。日本選手が世界最高峰のクラブでスタメンを張り続けようとしたら、フィジカルコンディションが整わないなかでも存在感を発揮する方法を見出すのも必要だろう。

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