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家長昭博をすこぶる評価。元ファンタジスタながら理想的な指揮官がいた (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 マジョルカ時代、ラウドルップはそう明言していた。「守備をしろ」。そんな退屈なセリフを彼は口にしなかった。ファンタジスタは監督になっても、美しい流儀を守っている。

 一方、尖った美的感覚は、人に受け入れられないこともある。極端な言動にもなりやすい。自然、周りと感情的に対立する場面もあった。マジョルカ時代も、スポーツディレクターのロレンソ・セラ・フェレールと衝突。自ら職を辞すことになった。少しも譲らない性格だけに、他のクラブとの契約交渉もしばしば最後にこじれてしまったのだ。

 そして2018年6月末、カタールのアル・ラーヤンと契約が切れて以来、どこも率いていない。

「偉大な選手は、パス一本の先に必ず意味がある。ボールをつなげるだけなら誰にでもできる。その先を見ることができるかどうかは教えられないから、サッカーセンスは大事だね」

 ラウドルップはそう語る一方、可能性を捨てない。

「しかし、サッカーをトレーニングすることで、改善はできる。選手は試合を読み、いるべき場所を知り、パス精度を上げ、戦術的連動性を少しでも高められる。ボールゲームをあきらめない。監督はその道筋を作れる」

 ラウドルップこそ、正真正銘の<ファンタジスタ×監督>だ。

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