スペイン代表とドイツ代表がうまくいっていない要因を探ってみた (4ページ目)
小澤 すでにそれはヨーロッパのクラブ、たとえばマンチェスター・シティやバルセロナが実践していますから、基本的には攻撃においてはきちんと横幅を取って、その幅を取れる選手がドリブルで突破するだけの能力を持つということがポイントになると思います。だからこそ、今回のドイツでいうと、レロイ・ザネを招集外、落選にしたところがあらためて大きくフィーチャーされているのだと思います。
それと、基本的にドイツサッカー協会は縦への鋭さやゴールに直結するプレーについて積み上げてきている部分はあると思うんですけれども、レーヴ監督はポゼッションに舵を切ったサッカーをしているので、たとえばトニ・クロースを中心に長いボールを差し込んでカウンターを打てるような場面でも、まずボールを保持して相手に守備人数をかけられてしまうような遅攻を見せていました。ですから、逆にその辺りをレーヴ監督も含めたドイツサッカー協会があらためてドイツサッカーの原点を再確認すれば、またすぐに取り戻せるのではないかと見ています。
倉敷 たとえばバイエルン・ミュンヘンのようなサッカーを実践できる選手が何人も代表の選手にいるのであれば、それをそのまま持ってきてしまうことはプラスにはなります。でも逆に、そこは弱点にもなって、小澤さんが指摘されていましたけど、横幅がなくなってしまいますよね。相手のディフェンスを広げることができるウィングタイプの選手、ザネのような選手もそうですけれども、そういう選手を代表チームに呼ばなかったり、あるいは故障で使えなかったり、ということもあります。今後は、そこの部分でどれだけ引き出しを持てるかということが、逆襲につながるのでしょうね。
中山 サイドバックもそうですけれども、ウィングやサイドバックの選手をもう一度選び直すということも大事ですね。それと、あまりドイツは悲観しすぎない方がいいと思うんです。たぶんドイツの人は大丈夫だとは思いますが、今回はひと言でいえば大失敗だったわけです。何が大失敗だったのかといえば、僕自身は韓国戦に尽きると思っています。
倉敷 そうでしたね。あの試合で勝っていればラウンド16に進めました。
中山 スウェーデン戦でクロースが最後の時間帯でサヨナラゴールみたいなフリーキックを決めて、劇的に勝利して勢いに乗ったわけですから、普通に考えたら、韓国相手の試合で普通に勝っていれば、準決勝や決勝に進出していた可能性だって十分あったと思うんです。
ただ、あの韓国戦で油断してしまったのか、あのようなゲームをしてしまったのが最大の敗因ですよね。それはきっと、大会前からの流れということもあったと思いますが、あの試合さえ乗り越えるメンタリティがあれば、こうはならなかったのではないでしょうか。チーム内に引き締め役がいれば今回の大失敗はなかったかもしれません。それを含めてしっかりやり直しをすれば、きっとまた強いドイツがすぐに戻ってくると思います。
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