スペイン代表とドイツ代表がうまくいっていない要因を探ってみた (6ページ目)
中山 レアル・マドリーが戦犯ですよね。これは、スペインサッカー界だけの話ではなく、イタリアなんかもそうなんですけれども、クラブの方が協会よりも力があるということの表れだと思います。
倉敷 小澤さん、でもスペイン国内ではマドリーが悪いという報道って、あんまりないんですよね?
小澤 『マルカ』紙の声が大きくなる傾向があって、彼らは基本的にマドリー擁護の立場ですから、まったくそのような声はありませんね。逆に、ロペテギ監督がプレシーズンの準備を始めたことを喜んでいるような記事が出ています。
中山 サッカー協会よりもビッグクラブの意向の方が上だという意識があるので、こういうことが起きてしまうのでしょうね。これは3大リーグ、4大リーグの宿命みたいなところはありますね。
倉敷 小澤さん、ロペテギ監督がいなくなって、コーチングスタッフもみんないなくなったということでいいんでしょうか?
小澤 そうですね。彼のアシスタントコーチ、フィジカルコーチ、それからメンタルコーチも含めて、3人のスタッフと一緒に4人で出ていきましたから、本当にごっそりコーチングスタッフがいなくなりました。
倉敷 スペインの新監督はルイス・エンリケになりましたけれども、どの辺に期待をするのかということも含めて、プラスとマイナスについて忌憚のないところで聞きたいのですが。
小澤 僕は期待している部分が大きいですね。というのも、メディアとは関係がよくありませんでしたが、ルイス・エンリケはバルセロナというあれだけのビッグクラブで、叩かれながらもきちんとチームを作りましたし、現在のスペイン代表に足りないところを改善する策を持っている人だと思います。
スペインはボールを持てるチームですけど、引かれた相手をどう崩すかという問題に対して、彼は戦術的なバリエーションを作れるだけのものをバルセロナですでに実践していますから、そこに不安はないでしょう。もちろん選手は違いますけど、基本的にはイスコなど同じようなタイプの選手はいますし、これからまた新しい選手が代表でも台頭してくると思います。
彼はテクノロジーをかなり駆使できる監督ですし、攻撃の幅と深さをどう取って相手を攻略していくかというところについても、自分が信頼しているスタッフを代表に連れていって、サッカー協会自体を変革するくらいの意気込みで取り組むはずなので、期待していいのではないでしょうか。
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