【F1】アストンマーティン・ホンダの「長いトンネル」はここから 単純にパフォーマンスが足りていない現実
F1第2戦・中国GPレビュー(後編)
ICE(内燃機関エンジン)が発する振動は、それ単体では昨年までのICEと比べても大きいわけではない。アストンマーティンのダミーモノコックとギアボックスにつなげたVTT(ベンチテスト)でも問題となるレベルの振動はない。
ところが、そこにすべてのパーツが装着され、実際にコースを走ると、振動が増幅されてしまう。
アロンソもストロールもリタイアに終わった photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る 最初にICEとモノコック直結のバッテリーにダメージが及び、ドライバーも振動を訴えた。信頼性を確保するために「バッテリーへの振動対策」は急いで対策が講じられ、一定の成果を上げた。中国GPでも週末を通して発生したのは、決勝のランス・ストロールの電源トラブルだけだ(現時点で原因は解析中)。
しかし、車体側の振動を軽減するための対策は行なっていないのだから、依然としてドライバーたちが振動問題に苦しめられるのは当然のことだ。
ICE自体の振動を抑えるといっても限度があり、前述のとおりそれ自体はもともと通常レベルのものでしかないからだ。もし本当に完走できないほどコクピットの振動がひどいのなら、ICE側の対策に期待しているだけでは根本的解決に至りようがないのは自明だ。
「(アストンマーティンとホンダで)協力して改善作業を進めている。今の問題を抑えるための最適な対策が何なのかという議論を交わし、ともに改善作業を進めているよ。理想を言えば根本から改善することが理想だが、ホンダとともに進めているのは、限られた時間のなかで何ができるかということだ」
マイク・クラックCTO(チーフトラックサイドオフィサー)はそう語る。
ただ、車体側としても重量増などのデメリットを考えれば、モノコックやバルクヘッド・マウント部、ギアボックスケーシングなどの増強に消極的になるのも確かだろう。HRC Sakuraでは新たな対策案も見つかっているといい、次の日本GPにそれが投入され、パワーユニット側だけでなく車体側にも好影響をもたらすことを期待したい。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。









