逆転レアル、大敗ローマ。
CL2試合にみる「サッカーは布陣で決まる」 (2ページ目)
この大一番、注目はレアル・マドリードのスタメンと布陣だった。マルコ・アセンシオではなくイスコを起用すれば、4-3-3は事実上、4-3-3にならない。各所に歪みが出ることは、準々決勝の対ユベントス戦を含め、レアル・マドリード最大の弱点だとこれまでも述べてきたが、この試合でも、それは見事なまでに露呈した。
イスコは本来、キミッヒの対面で構えているべき選手だ。この日も試合開始してしばらくは左を維持し、キミッヒの攻撃参加を抑止する役割も、同時にこなしていた。ただ、当初はポジションに従順だったが、ゲームメーカータイプの中盤選手は、ボールが回ってこなくなると、概して居心地が悪くなるものだ。
イスコはその典型的なタイプ。4-3-「3」の「3」の左に適性がないことは誰の目にも明らかなはずだが、ジネディーヌ・ジダン監督は、またしても彼を先発で起用し、そして失敗した。
だが、その流れは、前半で終わった。その理由のひとつは、前半終了間際、マルセロの左足シュートが決まったことだ。劣勢の中、ゴールが決まりそうもないムードの中で生まれた脈絡のない得点。しかもアウェーゴールである。
そしてもうひとつは、左ウイングとして後半のピッチに立ったのがイスコではなく、マルコ・アセンシオだったことだ。この采配で、レアル・マドリードの左右のバランスはすっかり整うことになった。
逆にバイエルンは乱れた。前半に右ウイング、アリエン・ロッベンをケガで失い、そして後半、同サイドにマルコ・アセンシオを投入されると、バイエルンは右サイド(=レアル・マドリードの左サイド)で、顕著な劣勢に陥った。その攻撃は必然的に左に偏ることになった。
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