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逆転レアル、大敗ローマ。
CL2試合にみる「サッカーは布陣で決まる」 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 本来の姿は、お互い攻撃的だ。4-3-3を採用しながら攻撃的とは言いにくいサッカーを展開したのは、身近なところではハリルジャパンに限られるが、それはさておき、ローマはその4-3-3を、バルセロナと戦った準々決勝第2戦に続き、いじってきた。

 バルセロナ戦は3-4-3。UEFAが提供するアクチュアルフォーメーションに従えば、中盤フラット型か、ダイヤモンド型かは微妙なところだが、3トップを真ん中(エディン・ジェコ)と左右(ラジャ・ナインゴラン、パトリック・シック)両サイドに置く、3バックであることは確かだった。

 攻撃的サッカーの元祖で4-3-3を布くバルサに対し、それ以上に攻撃的と言いたくなる布陣で臨んだ。そして3点差をひっくり返す、まさかの大逆転劇を収めた。チャレンジャー精神の賜(たまもの)だった。

 だが、準決勝のリバプールは同格の相手だ。しかもこれに勝てば決勝だ。リバプールとローマ。色気を出すのはどちらか。受けて立ってしまうのはどちらか。注目はそこだった。

 ローマは立ち上がりこそ攻勢だったが、次第にペースをリバプールに奪われる。布陣をいじった影響が、時間の経過とともに鮮明になった。

 布陣は今回も3バックだった。しかし前回の3-4-3とは真逆に位置する3バックで、4分割表記で表せば、3-4-1-2となる。前3人の並びは2トップ(ジェコ、ジェンキズ・ウンデル)と、2トップ下(ナインゴラン)の関係に大きく変化していた。

 4-3-3(リバプール)対3-4-1-2(ローマ)は、まさに「攻撃的」対「守備的」の戦いであり、案の定、それは「効率的」対「非効率的」に変化していった。ローマのエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督は、90年代後半にイタリアサッカーが衰退し始めた頃のサッカーを、この大一番で披露してしまったのだ。

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