南雄太のプロGK生活〜光と影の26年 「20代は勘違いしていた。30歳で戦力外通告を受けて気づいた」
26年にもおよぶプロキャリアに終止符を打った南雄太が、昨年12月21日に大宮アルディージャの本拠地NACK5スタジアム大宮で開催した引退試合で、自らの花道を飾った。
プロ入り前の1997年、高校3年生にしてU-20日本代表の正GKに抜擢され、ワールドユース(現U-20ワールドカップ)マレーシア大会でベスト8進出に貢献。2年後のワールドユース・ナイジェリア大会では準優勝という歴史的快挙を成し遂げた南にとって、四半世紀以上(1998年〜2023年)も続いた長い現役生活はいかなるものだったのか。
光と影が交錯した自身のキャリアについて、包み隠さず語ってくれた。
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GKとして日本初の引退試合を行なった南雄太さん photo by ©️ヤナガワゴーッ!この記事に関連する写真を見る── 先日の引退試合は、最後まで飽きることなく楽しませていただきました。サッカー人生の節目とも言える引退試合を終えて、どのように感じていますか?
「めちゃくちゃ楽しかったというのが、一番ですね。いろいろな人から楽しかったよって言われたことが何よりですし、とてもいい人生経験になりました。
ただ、引退試合をやると決まってからの準備期間はとても大変でした。もちろん自分の引退試合なので自分が一番がんばらなければいけないことはわかっていましたが、それこそスポンサーを集めることから出場してもらう選手への声がけもして、そのうえで興行としての収支も考えなければいけないので、プレッシャーでしかなかったです(笑)。
とにかく、無事に終えることができたのも、協力していただいた方々や来場してくれたファンのおかげなので、みなさんには本当に感謝しています」
── GKの引退試合は日本で初めてのことでした。90分を終えたあとにPK戦をやってくれたことがとても斬新で、そこにGKのこだわりみたいなものを感じました。
「やっぱりGKが一番目立てるのはPKだと思ったのでトライしましたが、あれもやらせなしの真剣勝負だったので、1本も止められなかったらどうしようかと、かなりプレッシャーを感じていました。結果的に、最後にカズさん(三浦知良)のPKを止めることができて個人的にいい思い出になりましたし、お客さんが喜んでくれたのでよかったです」
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著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)