ヴァンフォーレ甲府のACL収支報告 「奇跡」の黒字となったか「国立のチケット販売は想定の4倍」「グッズも予想以上の売り上げ」で... (4ページ目)
【想定していたマイナスを予想以上に圧縮】
ん? 1万1802人、1万2256人、1万5877人と、国立の集客は右肩上がりだったので、もうすっかりACL単体で黒字化できたと思っていたが、まだ足りないのか?
「チケットが売れれば売れるだけチケット販売手数料も上がりましたし、集客のために投資した渋谷、新宿でのプロモーション費、試合前のライティングなどショーアップのための費用など、集客に注力した分、支出もそれなりに膨らみました。
でも、それだけ支出が増えてもマイナスを大きく圧縮できているので、合格点以上だと考えています。チームが頑張ってグループ突破の可能性が高まれば、当然、経理部門としてもチームが勝つために必要な投資を考えます。実現はしませんでしたが、最後のブリーラム遠征ではビジネスクラスでの移動も考えました」
これは植松さんからも聞いた話だが、実際、ブリーラム遠征時は数席のビジネスクラスが予約できることを現場に伝えたところ、篠田監督は自分も含めて全員エコノミーで構わないから、1試合の最大登録枠23選手を連れて行かせてほしい、との返事があったそうだ(過去2度のアウェー戦では20選手で編成)。また、現場の要望通り、選手とスタッフを通常よりも1日早く現地入りさせることもできたという。
何はともあれ、勝つためにはそれなりのお金がかかる、ということなのだろう。
さて、次の焦点は12月28日の組み合わせ抽選会だ。ラウンド16で、ヴァンフォーレ甲府はどのチームと対戦することになるのか。横澤さんも他のクラブスタッフも、再び勝つために自分に何ができるのかを考える時がやって来る。
三浦颯太、長谷川元希と、さっそく例年のように主力が引き抜かれてしまう宿命のスモールクラブにとっては、軍資金のやり繰りを含め、まだまだACLの試練は続きそうだ。
いや、それは決して試練ではないはず。奇跡の夢物語がまだ続く、と言うべきか。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
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