ヴァンフォーレ甲府のACL収支報告 「奇跡」の黒字となったか「国立のチケット販売は想定の4倍」「グッズも予想以上の売り上げ」で... (2ページ目)
【いろいろなサポーターがいるのを見て、素直に感動しました。】
隣でそれを聞いていた長谷川元希も、遠路はるばるブリーラムまでやって来て、ものすごい熱量で応援してくれた甲府サポーターを見た時、試合前から感極まったそうだ。
「この6試合を通して、サポーターの力が僕たちにとって最大の力になりました。僕たちも暑いなかで戦っていましたが、それ以上に、サポーターが最後まで声を切らさず......。本当にありがたかったですし、一緒にグループを突破できたことがうれしいです」
第5節のメルボルン戦で劇的な同点弾をヘッドで決めた宮崎純真は、ホーム戦の舞台となった国立競技場の雰囲気に、心を動かされていた。
「最初の国立での試合で、スタンドに挨拶をしに行った時、そこにいろいろなサポーターがいるのを見て、本当に、マジで、素直に感動しました。今後、こんなことはもうないのかもしれないですけど、すごくありがたかったし、本当にいい経験をさせてもらいました」
今回のACLでは、甲府サポーターはもちろん、他クラブのサポーターやサッカーファンが多く駆けつけて、チームを後押ししてくれた。それは、世界でも例を見ないような珍しい光景であり、個人的には、それこそが最大の奇跡だったと感じている。
あの奇跡的景色を目にした時、その雰囲気をつくった甲府サポーターにもクラブのDNAが宿っていることを確信できた。試合に勝ったことより、それがいちばん心に残った。
黒子として粉骨砕身で働いた植松さんも、同じことを感じていたようだ。
「あの場に来てくれた方って、本当に素敵な人だなって。みんな自分の意志で行動に移して、応援してくれた。自分が何をしたいのかわかって来てくれていたので、まったくネガティブな雰囲気がなくて、スタジアム全体がポジティブな空間になっていました。
それが選手にも伝わって、ひとりひとりが絶対に負けたくないという気持ちになれた。だから、戦術とか個人能力を超えた戦いができたんじゃないかなって。あの空間に身を置いて、選手、監督、そして我々スタッフのなかにも、そういう人を落胆させたくない、その気持ちに応えたいという、強い意志と思いが生まれたんだと思います」
奇跡が奇跡を呼び、それが持っている以上の力となって、歴史的快挙につながった。
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