サッカー日本代表が「カウンターを食らいやすい」理由 インドネシアに大勝も問題を露呈 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【引いて構える相手の「背後を突く」?】

 布陣は両軍とも似ている。3-4-2-1(日本)対5-2-3(インドネシア)。3トップが開き気味に構えるインドネシアのほうが、5バックになりにくさという点では上だが、戦力の関係で5バックになる時間は日本より多かった。一方の日本は、3バックを維持する時間のほうが5バックに転じる時間より長かった。攻めている時間が断然、長かったからだ。

 当然、ボール支配率で勝ったのは日本。ゲームをコントロールしてパスをつないだ。一方、インドネシアはそれを奪ってはカウンターを仕掛けた。先述の9分のシーンに加え、14分、15分にも逆襲から際どいチャンスを作っている。実力的に大きな差があるにもかかわらず、なぜこうした事態に陥ったか。

 森保式3-4-2-1は、ズバリ言えば、カウンターを食らいやすいサッカーなのだ。5バックになりやすい3バック=守備的サッカーであるのに、ボール支配率が高い。この矛盾を見逃してはならない。

 ボールを保持する場所はどこなのか。

 森保監督は、前戦のオーストラリア戦後の会見に続き、この試合後の会見でも「素早く背後を突くサッカー」を口にしている。やろうとするサッカーについて、特に攻撃に関しては、これまで曖昧な言葉を繰り返してきた。策がないのではないかと怪しんだものだが、ここに来て頻繁に登場するのがこの言葉だ。

 しかし、オーストラリア戦がそうだったように、相手は引いて構えている。裏を突くスペースは限られている。もし森保監督がインドネシアの監督なら、日本対策としてバッチリハマる戦い方だが、日本がインドネシアと対戦するときは空振りに終わる。この作戦を主導しているのはいったい誰なのか。

 問題はここからだ。「素早く」と言っても、相手は引いて構えているので、日本の攻撃は必然的に遅攻になる。それでも素早くを意識すると、攻撃のルートは真ん中寄りになる。言い換えればサイド攻撃を重視しないサッカーだ。するとどうなるか。ボールを奪われる位置が中央寄りになる。カウンターを食らいやすいサッカーそのものとなる。

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