サッカー日本代表が「カウンターを食らいやすい」理由 インドネシアに大勝も問題を露呈 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【カウンターを得意とする相手の餌食になる】

 中央を"迫り上がる"ようにボールをつなぐサッカー、である。相手が四方(360度)から寄ってくるので、キープの難易度は高い。180度のサイドと比べれば一目瞭然だ。この中央迫り上がり型サッカー。加茂ジャパン、ジーコジャパン、第2期岡田ジャパンの途中まで、日本の専売特許だった古典的と言うべきサッカーである。

 当時、主として使われていた布陣は4-2-2-2。中盤に好選手が溢れていた中盤王国と呼ばれた時代のサッカーである。名波浩コーチらはその渦中にいた選手として知られるが、また20年前のサッカーに戻ってしまったかのような錯覚に陥る。

 中央を迫り上がるようにつないでいく日本は、詰まると初めてサイドに展開する。三笘にボールが渡る経緯を見ればわかりやすい。サイドバック(SB)がいないので、当然といえば当然である。それでも左はまだマシなほうだった。堂安律がウイングバックとして構える右サイドに至っては、途中交代で菅原由勢が入るまで(後半17分)、活用すらされていない。

 難易度の高い真ん中攻撃が増えれば、真ん中で攻守は切り替わる。すると真ん中の選手は瞬間、逆モーションになりやすい。サイドで奪われるより何倍も危険な行為を、森保ジャパンは頓着なく繰り返した。悪いサッカーの典型だ。

「素早く背後を突くサッカー」は、言ってみれば速攻だ。3-4-2-1はそれに相応しい布陣として認知されているので、やりたいサッカーに適した布陣と言える。だが、相手は弱者だ。相手には適さない。逆に相手に歓迎されることになる。

 日本の「素早く背後を突くサッカー」がハマる相手、つまり日本をボール支配率で確実に上回る強者は、世界に何チームあるだろうか。逆にいまの日本のサッカーを歓迎するチームのほうが断然多い。強者と対戦する前に、カウンターを得意とする弱者の餌食になる。インドネシアに前半35分まで善戦を許す姿に、その危険性は端的に表われている。

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