谷口彰悟が語ったセンターバックとしての覚悟「何度でも復活できるし、何度でも立ち上がれる」
【連載】
谷口彰悟「30歳を過ぎた僕が今、伝えたいこと」<第26回>
◆【連載・谷口彰悟】第1回から読む>>
◆第25回>>オーストラリア戦のオウンゴールを語る「失点直後は...」
ショッキングなニュースが飛び込んできた。『谷口彰悟、アキレス腱断裂か』。11月8日に行なわれたメヘレン戦で開始11分に左足首を痛めて座り込み、検査の結果、6カ月のリハビリを要する重症と診断されたという。
オーストラリア戦でオウンゴールを冒し、挽回すべく臨もうとしたワールドカップ・アジア最終予選の11月シリーズは、このアクシデントにより不参加を余儀なくされた。今、どんな心境で自身と向き合っているのだろうか。
オーストラリア戦後にベルギーに帰国し、10月21日にリモート取材で語った当時の思いを記す。
※ ※ ※ ※ ※
谷口彰悟は語った「何度でも立ち直れる自信がある」 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る 10月15日、ワールドカップ最終予選のオーストラリア戦で、58分にクリアミスからオウンゴールした自分は、1-1で引き分けた試合後、責任を痛感しつつ、ベルギーに戻った。
しかし、気持ちを切り替えてシント・トロイデンでの心機一転を誓った10月20日のゲンク戦で、15分にDOGSO(ドグソ/決定的な得点機会の阻止)により退場処分となり、チームは2-3で敗戦した。
またしても自分のミスにより、ゲームを壊してしまったのだった。
オーストラリア戦のオウンゴールと同様に、試合後は何度も映像を見返して、自分の判断や対応を省みた。
退場につながった場面では、相手とのさまざまな駆け引きと、自分の判断、行動が重なっていた。
状況としては、相手陣内からの1本のパスでDFラインの背後へ抜け出され、自分よりも相手のほうが前にいる状態で追いかけなければならなかった。だから、相手を追いかけ始めた時から、ファウルを冒せば退場になるであろうことは理解していた。
だが、まだ最後の砦であるGKがいる。レオ(小久保玲央ブライアン)がしっかりと対応できるように、相手FWにプレッシャーをかけなければいけないと考えた。また当初は、何とか追いつき、アタックできるのではないかと思ったが、相手のスピードも速く、途中で追いつくことは難しいと判断を変えていた。
状況としては、GKとFWの1対1になる。しかし、自分が追いかけてきていることを認知させることで、相手に1対2の状況だと意識させなければいけないと思った。
相手FWがドリブルでGKをかわそうとした時に、自分がアタックする。もしくはGKが弾いたこぼれ球に反応する。失点を防ぐチャンスも、可能性もまだあると考えた。そのためにも追いかけなければいけなかったし、追い続けなければいけなかったし、プレッシャーをかける意味でも相手の視界に入ろうとも思った。
僕自身も相手との接触は避けたかったため、並走していたところから、うしろを回り込むように進路変更した。しかしその瞬間、相手FWもドリブルする進路を変えると、自分の前にグッと入り込んできたため、お互いに交差するような状況が生まれた。その瞬間、わずかだが相手FWのうしろ足が自分の足に触れてしまった。
触れたのはほんのわずかだったが、ファウルになった結果は、相手のドリブルや駆け引きが一枚上手だったということだろう。
1 / 4
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。